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Blue あなたとわたしの本 274 カフェ・マジックアワー (後編・完結) 智(とも) やがて青年は最上階に着いたようだった。階段がとぎれていた。上へと向かう手段はもうどこにもない。がらんどうの、船の甲板(かんぱん)を連想させる、赤みがかったデッキに立っていた。建物の白い壁面が右手につづいている。窓のひとつもない。だが、のっぺりとしたその壁に、みどり色に塗られた扉が嵌めこまれている。このドアから…
ミュージシャンになる、という夢を抱いて都会へ出てから10年。夢に見切りをつけて故郷へ帰って来た。懐かしい我が家には埃が積もり、年月の流れを感じたのだった。掃除をして、様々な思い出の品を見つけ、この家から再スタートを切る決心をする。そして都会暮らしをしていた自分を思い出すと、奇妙な事実に行きつくのだった。 1 故郷の駅へ近づくと、田園風景が広がっている。 ローカル線の、ガタンゴトンというリズムが身体…
最初から書き直しちゃおう。全然できてないから。 今出してる話も消しちゃう。
「いらっしゃいませ~!」 早起きが得意な人が来店する朝。来店と同時に吹き込んできた空気は気持ちの良い暖かさ。 よかった……今日もいつもと変わらず清々しい。 「おはようございます。今日は何になさいますか?」 私はいつもの奥の席に腰を下ろした白髪のおじいさんの元へと愛想よく駆け寄った。 「おはよう。じゃあ、いつもので」 おじいさんは顔のしわを伸ばしてにこやかに微笑んだ。 「はい。かしこまりました」 そ…