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こんばんは! 課題書は朝井リョウの「イン・ザ・メガチャーチ」(2025/9、日本経済新聞出版)です。「推し活」がテーマで、「推し活」を仕掛ける者、ハマる者、卒業したけれど別の活動に再びハマるもの、複数の視点で語られる群像劇です。朝井リョウはまだ30代の若さですが、作家生活15年だそうで、私は本作は非常に円熟した完成度の高い作品だと思っています。「推し活」という一見ミーハーな素材をここまで昇華して書…
我孫子武丸犯人当て全集 (星海社FICTIONS)作者:我孫子 武丸講談社Amazon やはり、犯人当てはミステリの華だよなぁ。 本書は、“それ”だけを集めた作品集。 ただ、我孫子武丸なので、どうしてもちょっと“クセがすごい” 作品集になってしまっているかなぁ、という印象。 個人的に好きなのは、王道か、王道に見せかけての〈ずらし〉 なのだけれど、我孫子武丸の場合は、 それとは少し違う方向性に思えて…
谷崎純一郎賞受賞作とのことだが、過去の受賞作で読んだ本がないのと、谷崎純一郎の本も読んだことがないので、どんなもんかなとは思った。 しかし、著者の本は、3冊目ではある。なんとなく、その魅力を感じて、読みたくなるのだが、理由もわからない。したがって、こうした書評も書きにくい。 おもしろかった!とか、傑作だと思う!とかの言葉が出てこないのだ。 この作品を選んだ理由は、気になる題名と、舞台が、自分の青春…
あっというまに、年の瀬。 私は、相変わらず歯医者通い。クリスマスも予約が入っていますwww さて、noteを久しぶり更新しましたので、ぜひ。 note.com ところで、大河ドラマ「べらぼう」が終わってしまいましたね…… 今回は、皆勤賞。一話も見逃すことなく、リアルタイムで視聴。 とてもいいドラマでした! そして、まさかの最終回。エレキテルがあんな形で生きてくるとは。 そして、なんて素敵な臨終。 …
北山猛邦氏の新刊。初めての北山作品です。本作は建物消失をテーマにしたミステリ5編が収録されています。静かな語り口、読みやすい端正な文体で幻想的な物語を語っていきます。でも謎解きというよりは、幻想忌憚という感じだったかな。まあ謎解きミステリはポーや乱歩以来、すべて幻想忌憚の側面が強いけれど。というわけで、☆☆☆★(☆3.6)というところです。 神の光 作者:北山 猛邦 東京創元社 Amazon 次回…
みなさま、こんにちは!12月も中旬になりますね。紅葉のピークが去り黄金色や紅色の葉が地面を絨毯として埋め尽くします。その鮮やかな色彩が織りなす世界は美しさの極み。毎年、繰り返されるのだけれどすっかり忘れていて感動させてくれる幸せ。もう間もなく冬至です。その頃にはすっかり葉が落ちているのでしょうね。今のうちに公園や街路樹の立ち並ぶ場所に寄り道したいと思います。みなさまはお気に入りの落ち葉が積もる場所…
今回はアメリカの探偵小説作家ヘレン・マクロイの『家蠅とカナリア』(1942)を取り上げる。この充実した作品は同時期のクリスティー作品と比較したくなるような、独自の「騙り」を含んでいる。以下では、探偵小説としての驚きの中心点へと導いていくような仕方で、本作を論じてみたい。 参照するのは深町眞理子訳(創元推理文庫、2002年)である。丸括弧内の算用数字は同書の頁付けを示す。 【以下、本作の核心に触れる…
1986年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第13作。かつてシュルーズベリの門前通りに服地の店を出していたジュディスは、夫を病で亡くし自らも流産して一人になった。資産家でもある21歳の彼女は、店を修道院に貸与して自らは隠棲生活に入った。修道院からは毎年、庭の白バラの樹から1輪の花をもらう契約をして・・・。 4年経ち、彼女は夫の治療をしてくれたカドフェルに、尼僧院に入りたい…
それは夏の午後のことでした。 風も無く空はすっきりと晴れており、動物園の園内はギラつく太陽に炙られて、干上がるような暑さです。 巨きな体で人気の象さんも、百獣の王ライオンさんも、スーパーモデルのようなスタイルを誇るキリンさんも、猿山にたむろす猿さんも、いささか暑さにぐったりとしています。もともと暑い国を故郷にしている彼らですが、だからといって日本の暑さが全然平気というわけでもないのでした。 もちろ…
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