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あの日の翌朝、 温かなものに包まれる感触で目が覚めたことは、今でもはっきりと覚えている。 私が起き出すと、あの子もまた同時に起きて来た。 きっと、私と同じようにして、目が覚めたのだろう。 「お父さんは、元に戻ったんだね。」 おはようの挨拶よりも先に聞こえたのは、こんなあの子の声だった。 あの日の夕方には、あの子も家へと帰り、 また私たちは、それぞれの日常生活へと戻った。 あれから、梅雨にしては、や…
あらすじ 同じマンションに住むタカヤとカナは、毎年十五夜の晩に一緒に月見をするのが恒例になっていた。 和菓子職人を目指すカナの手作り団子を二人で食べて、少しお喋りするだけの短い月見の時間。 来年からは別の進路を歩む2人にとって、一緒に月見ができるのは今年が最後かもしれない。 そう考えたカナが、自分の気持ちを伝えるために考えた作戦とは……?
今週のお題「同級生」 同級生といえば、ライバルであり、強い絆で結ばれた同志。ということで、そんな内容で、Geminiに短編小説を生成してもらいました。今回は、生成結果をアレンジしました。 「リュウとアリア」 国際宇宙軍士官学校の卒業式を終えた二人は、足元に広がる巨大な宇宙港と、遥か遠くまで広がる大地を見つめていた。 広大な国際宇宙軍士官学校にそびえ立つタワーは、かつての国家間の境界線が融解し、人類…
リモートワークだから気を抜くと一週間家から一歩も出ないということがある。冷蔵庫の中が空っぽになったから仕方なく食料を調達しに行き、そういえば久しぶりに外に出たなと思い出す。気がつけばだいぶ肉もついて来ており、体も鈍っているから散歩をするようにしている。昼休みには2キロぐらい、休日は5キロぐらい。そのぐらいの軽い運動で体をほぐして、セロトニンを分泌させている。 昨日から散歩中に相対性理論の『TOWN…
友である祝葉賛助が一升瓶を提げてやってきた。飲みたいとき、やつが私を訪ね来るのが常である。あいつが酒をしょって来るのは、先日知人某からせしめたウイスキー以来のこと。何かよほど嬉しいことがあったのか。そう思って訊ねると、スーパーと提携する旅行会社の抽選に当たったらしい。千円の保険料を払うことで県内一周の日帰りバス旅行にかみさんと二人で出かけるんだと浮き浮きしている。この類のくじ運は昔から抜群に良いや…
〈第一話 静雨譚〉 雨は、降り続いていた。 それは濡れない雨。 雲の縫い目から零れ落ちるような細い粒子は、掌に受けても水滴にはならず、ただ微かに肌をくすぐって消えていく。 この雨が降り始めてから、季節は変わらなくなった。冬は遠のき、夏も来ない。街は、同じ温度と光の中で緩やかに時間を繰り返している。 世界の人口は半分になった。 消えたのか、去ったのか、それともどこかへ移されたのか──誰も知らない。た…
第一章 「水無瀬晶の弟」 俺の姉について話しておきたい。 水無瀬晶は厭なやつだ。無神経で傍若無人でニコリとも笑わない。性悪な女だ。 姉といっても、血は繋がっちゃいないんだけど。ただうちの母親とあいつの父親が結婚しただけ。よくある話だ。晶と俺とは血が繋がっていない。ーーーそれを俺は喜ぶべきなのかもしれない。あんなに生きづらそうにしてる義姉を見ていると余計に。厄介な性質を、もしも俺も受け継いでいたらと…
今週のお題「これに影響を受けました!」 以前も書きましたが、別館に掲載している自作小説は、アメコミ映画の影響をかなり受けています。 この話、別館に過去掲載した創作雑記と内容が一部重複しています。ご了承ください。 powerstream.syuriken.jp saburo-road.hatenablog.com 『スパイダーマン』をDVDで見てしばらくたってから、 「三郎さん。アメコミ映画が面白い…
澄んだ雲を見ていた。 昨日見た星空の光と重ね合わせるように。 遠い後悔という名の霧に隠れた、君と過ごした思い出が今も脳裏にこびりついて離れない。 「一体何処で間違えたのだろうか。」 ある片田舎の駅から離れた小さなワンルームで男は呟いた。 彼がその廃れた借家を住処として選んだのは、ただ単に家賃が安価であるという理由のみであった。彼は元々東京のある小さな映像制作の会社に勤め、糸を紡ぐように細々と日々を…
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