1つの日記だけで終わる短編小説を書く人たちの集まりです。
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「おプペりのとこすいません」 隣の席でパソコンの画面に向かっていた西山田が、なにやら差し迫った口調で声をかけてきた。西山田は入社一年目の後輩社員である。「別にそんなプペッてるわけじゃないけど、どうしたの?」 私はたしかにややプペり気味ではあったが、ちょっと先輩らしい余裕をかましたくなって鷹揚な態度を見せた。「ここの文字をいったんどこかにプペッてから、もう一度こっちにプペり戻したいんですけど、どうや…
揺れが街に触れるとき(第三編) 1. 朝のニュースが、生活の音を少しだけ濁らせる 2. 通勤電車の揺れが、いつもより不規則になる 3. 夕方、夫の声が街のざわめきと同じ温度になる 4. 夜の食卓で、外の音が会話の隙間に入り込む 5. 深夜、街の光がわずかに揺れて見える 6. 翌朝、街の揺れは消えていたが、ふたりの揺れは残った 揺れが街に触れるとき(第三編) 1. 朝のニュースが、生活の音を少しだけ…
こんにちは、よしろーです。頭の体操で「日常の断片」をテーマに創作短編を書いています。 今回は「テレビで見たおじいさんを、商店街で偶然見かける」お話です。 公園の閉鎖に反対し、画面の中で必死に想い出を語るおじいさん。数日後、商店街で見かけたその姿に、言葉の意味を改めて考える。そんな想像を、短い物語にしました。 読了目安:約2分(ちょっとした暇つぶしに) 「あそこが無くなると、想い出まで消えてしまうよ…
凍結された真実:レッドファイル密録 第一章:亡命の火種 深夜の羽田空港、降りしきる雨が滑走路を黒く光らせていた。プライベートジェットから降り立った一人の男、劉慶(リウ・チン)は、防寒コートの襟を立て、震える手で小さなUSBメモリを握りしめていた。 彼はかつての国家主席・劉少奇の血を引く男でありながら、党内部の凄惨な権力闘争に敗れ、一族の破滅を目の当たりにしてきた。彼が持ち出したのは、全党員9,00…
毎度!ねずみだ。 NHK朝のお天気キャスターの近藤奈央さんが降板してしまったので、会社に行く元気がなくなりました。来週から会社行きません。 さて。 会社で一回りくらい若い奴と話していた時の事。ちょっとしたプロジェクトの立ち上げの件で。私が「もうちょっとここをこうしたい。」と話すと、彼は首をひねり「ええっと、そこまで必要かなあ。」と答える。 彼の主張では、上層部から要求された内容を反映するには、ここ…
春の朝の光が差し込む柔らかな桜色の背景に 🌸 忙しい朝の「肝」を整える養生食レシピ ― 薬膳・漢方における春の体調の注意点とともに ― 今年の春は気温の変化が大きいですね。二月なのに最高気温が20度を超えたり、三月なのに10度を下回ったり。こんな不安定な状況だと、自律神経も揺さぶられてしまい、眠りが浅くなったり、朝のだるさが抜けなかったりします。 春は気持ちが明るくなる一方で、体調がゆらぎやすい季…
今回の「Blue あなたとわたしの本」では、拙著「カフェ・マジックアワー」の書評をシェアしたいと思います。詩人であり、小説も書かれる 佐間 啓介氏 のレビューです。初出は文芸誌「Faith」。 僕は書評・「帰還せよ」を拝読し、いたく感激したのです。それで佐間氏に連絡をとり、「はてなブログ」への転載を打診したところ、ご快諾いただいたというのが経緯です。 ただ、佐間氏のレビューをこれから読まれるあなた…
前々から行きたかった「ポップ・アート展」に、やっと行ってきた。 開催期日は来週末まで。 ギリギリ間に合った。 今回展示されているポップ・アートの巨匠たちでは、ロイ・リキテンスタインやロバート・ラヴシエンバーグも大好きなのだが、その中でも、アンディ・ウォーホルは、ワタシにとって特別な存在。 もしも、ウォーホルの作品に出会わなかったら。 出会ったとしても、自身の琴線に触れなかったら。 おそらく、グラフ…
その部屋はとても居心地がよかった。これまで付き合ってきた女性の、どの人の部屋とも違っていた。圧倒的に居心地のいい部屋だった。広いわけじゃない。匂いとか、そういうことでもないと思う。 初めて入った時から、奏人(かなと)はそう思っていた。こんなに居心地の良い部屋は今までなかったよ、と彼女に言ったら、彼女は、どんな人と付き合ってきたの、と笑っていた。だけど、本当にこの部屋は特別だと思ったのだ。 その部屋…
酔言 117 誰もいない屋上に上がった。定期的に行う冷却塔の保守点検だった。外ではやはり冷たい雨が降り続いている。ふと、一人の若い男性患者が、最上階にある厳重に鍵の掛かった保護室の窓に内側から顔をこすりつけ食い入るように外を眺めているのに気がついた。 一心不乱に窓の外を見ている。いったい何をそんなに見つめているのだろう。私のいる建屋と彼のいる隣りの病棟の間には、中庭を挟んで地上8階の何もない中空の…
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