トピック一覧

読書・マンガ

横山秀夫『半落ち』を読んで

こんにちは、皆さん!一人ぼっちユウトです。今日は、横山秀夫の傑作警察小説『半落ち』について語らせてください。読後、胸が締め付けられるような感情に包まれ、しばらく動けませんでした。これは単なるミステリーではなく、魂を揺さぶる“人間の物語”です。 『半落ち』の魅力🕵️‍♂️ 冒頭から衝撃の展開 「妻を殺しました」——現職警察官・梶聡一郎が自首してくるところから物語は始まります。アルツハイマーを患う妻を殺害したという衝撃の告白。動機も経緯も素直に語る梶ですが、事件から自首までの“空白の二日間”だけは、…

フォルケホイスコーレのすすめ デンマーク「大人の学校」に学ぶ

発行元:花伝社 フォルケホイスコーレのすすめまとめ フォルケホイスコーレのすすめを読んだ理由 フォルケホイスコーレのすすめで仕事に活かせるポイント フォルケホイスコーレのすすめから学んだこととそれを活かせる方法 フォルケホイスコーレのすすめの目次 フォルケホイスコーレのすすめの感想 フォルケホイスコーレのすすめまとめ 舌をかんでしまいそうな、聞き慣れない単語。フォルケホイスコーレ。このデンマークに生まれた大人向け教育機関についてのお話。デンマークではどうしてこのような教育機関ができたのか?日本で…

私は映画をあまり観ない。嫌いというより、苦手。 映画だけではなくて、映像によって紡がれるストーリー全般がダメだ。 つまらないから、とかくだらないから、とかではない。のめり込み過ぎて疲れ切ってしまう。子どもの頃はその感覚が楽しくて、むしろテレビっ子だった。いつからか、普段の生活での疲れが増えたせいか、他人のことで疲れる勇気がなくなってしまった。 そんなわけで、名作とか、傑作とか言われている作品の内容も全く知らなかったりする。 幸い読書を楽しむ余裕はギリギリあるということが最近わかったので、この先1…

年末の自分

何かしなきゃ、と思っていた。 朝起きた瞬間から、 胸の奥で小さなアラームが鳴っている。 止め方はわからない。 コーヒーは冷める。 やることはある。 やりたいことも、たぶんある。 でも、どれも別に、 今じゃなくてもいい気がする。 机の上には、 焦りっぽいものだけがある。 そんな日が、 続いていた。 たまたま見たSNSに、 「今日は年末の自分を考える日」 と書いてあった。 まだ今年は始まったばかりだけど、 まあ、考えるだけなら、と思う。 年末の自分。 ちょっと想像してみて、 すぐに出てきたのは、これ…

高橋哲 編『教員の「働き方改革」はなぜ進まないのか』より。なぜ教員数が増やされないのか?

文部省がこの「指導時数」の標準設定にあたり検討したと思われる資料によれば、教職員勤務実態調査を実施して、単に教科指導・教科外指導のみならず教材研究、指導の準備・整理、学級運営事務、学校管理事務に個人研究・研修の時間も加えた「教員1人あたり担当授業時数」の検討を行った結果、「現在教員の負担はきわめて過重であり、これ以上の勤務量は到底望むことができない。したがって、教員1人あたりの授業担当時数は1日3時間(45分授業として4時限)、1週24時限程度にとどめる必要がある」(この場合の「時限」は「授業コ…

読書「ノッキンオンン・ロックドドア2」青崎有吾 ※ネタバレあり

探偵事務所を舞台とした、青崎有吾さんの短編ミステリー2作目。前作同様、ゆるく楽しい短編ミステリー集と最初の5本を読み終わったところまでは思っていたが・・・6本目の解釈をめぐり奥様と激論を闘わせることになってしまった。ここを避けてブログ記事を書くことは難しい。 したがって、今回は、完全にネタバレありの感想となる。今後、本書を読まれる予定の方は、以降本文に進まないことをお勧めいたします。 ノッキンオン・ロックドドア2 (文芸書) 作者:青崎有吾 徳間書店 Amazon 青崎有吾さんの作品を読むのはこ…

『ヤン・ファン・エイク史料集成』サクッと感想(1)

『ヤン・ファン・エイク史料集成』(中央公論美術出版)は「史料編」だけでも結構面白く、読みながら思わず笑ってしまった箇所もある。 例えば「史料(32)1436年」(P46)であるが、本からそのまま引用してみよう(申し訳ありませんっ😅💦>編者の皆様)。 ----------------- 「フィリップ善良公の密命により遠隔地へ赴くヤン・ファン・エイクへの支払い」 わが殿の命により、殿の部屋付侍従にして画家のヨハネス・デイクへの支払い。同人が見知らぬ遠い土地を旅するための経費。同人を派遣することは秘密…

週刊プチ感想・レビュー#193【ぷにるはかわいいスライム】特別イラスト46

※引用:「ぷにるはかわいいスライム」特別イラスト46より ぷにるはかわいいスライムの感想を1話1話書きたいと考えて、週刊プチ感想・レビューをはじめました。 毎週木曜日に投稿する予定です。 週刊コロコロコミック ぷにるはかわいいスライム 特別イラスト46 まえだくん www.corocoro.jp 感想 改めて新年あけましておめでとうございます。 年賀状イラストのぷにるは、アニメで出てきた姿ですね。 スタイル良くて太ももに執念を感じる素晴らしい姿です笑。 公式サイト アニメ『ぷにるはかわいいスライ…

邦訳がまだないのでキャラの一人称や口調を勝手に想像する【HEATED RIVALRY】

HEATED RIVALRYの邦訳がまだ出てないしドラマ未配信なので字幕も付いてないのをいいことに、キャラの一人称とか言葉遣いを想像してみたくなった。 しつこいけど左がシェーンで右がイリヤGAME CHANGERシリーズ全冊まとめの後編を書く前の箸休め的な意味もあります。 国語の要約がめちゃくちゃ苦手だったことを今さら思い出した。 洋画や翻訳文学における一人称 シェーンとイリヤの一人称 シェーンとイリヤの言葉遣い 洋画や翻訳文学における一人称 洋画ファン(極大主語)は、原語から日本語に訳された時…

気になる本を買える喜び

今日、中古本を買いに、近くのブックオフに行ってみました。 いろいろと探し回って自分なりに気に入ったものを、見つけることができました。 やはり、自分がイイと思った本が手元にあるのは、何とも言えない安心感を感じます。 こういう・・・・ 続きはこちら

『厳冬之棺』 孫沁文(著),阿井幸作(翻訳)

厳冬之棺 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 著者 : 孫沁文 早川書房 発売日 : 2023-09-20 ブクログでレビューを見る» 中国の作家・孫沁文の長篇ミステリ作品『厳冬之棺(原題:凛冬之棺)』を読みました。中国の作家のミステリ作品を読むのは初めてですね。-----story-------------華文ミステリ界の▼密室の王▼第一長篇湖のほとりに建つ陸家の半地下の貯蔵室で、当主陸仁の遺体が発見された。この地下小屋は大雨により数日間水没しており、誰かが外から侵入した形跡はない密室状態だった。そし…

『煙仏(けむりぼとけ)』

『煙仏 下駄華緒著 竹書房 ¥650』以前ブログに書いた『火葬場で働く僕の日常』の著者の文庫本。中身は別物。漫画の方は、著者の職業である火葬場職員としての業務を広く人に知ってもらうための本という印象だったけど、こちらは火葬場以外の普通の怪談本に見られる普通の実体験も多く掲載。全ページ火葬場や葬儀での不思議体験でよかったんだけど半分かあ、というのが正直なところ。火葬場って人生で何度も行くところでもなく(でも自分の人生の最期は必ず行く)、そういう特別な場所で働く人の話は興味深いことばかり。『中にいる…

線は、僕を描く 感想 レビュー 著者:砥上裕將 小説 講談社文庫 第59回メフィスト賞受賞 2020年本屋大賞第3位

にほんブログ村 この記事にはプロモーションが含まれています。 ランキング参加中読書 ようこそ、シュガーのファンタイムへ。 講談社文庫から発売されている水墨画をテーマにした小説 著者:砥上裕將 さん 線は、僕を描く を読みました! 線は、僕を描く (講談社文庫) 作者:砥上裕將 講談社 Amazon 第59回メフィスト賞受賞作で、2020年本屋大賞第3位にノミネートされた作品! 2022年には横浜流星さん主演で映画化もされた大人気作! 面白すぎました!!!! もっと早く読まなきゃいけませんでした!…

充たされざる者

イシグロのThe Unconsoledを読んだのですが、難解でした。 まるで信用ならない記憶力の主人公、前提が共有されずに進んでいく会話、未解決のまま積み重なる脈絡のない頼み事……悪い夢を見ているような気分です。カフカの審判を思い出したのは私だけではないと思う。 初対面かのように登場した人間が実は近しい関係性だったり、遠くに行ったと思えば元の場所に戻っていたり、その辺りの混乱ぶりもなかなか悪夢的です。意図的にそう書かれているんだと思うのですが、なにぶん英語なので、私の誤読なんじゃないかと不安にな…

奈落の新刊チェック 2025年12月 海外文学・SF・現代思想・哲学・歴史・溺れる少女・おふとんの外は危険・隠喩としての病い・イギリス現代思想入門・脱走論・クィアな時…

月初恒例と言いつつ最近はすっかり中旬更新となったこちらの新刊チェック、今月はぎりぎり上旬かと思いきやもはや中旬でしょうか。まあとにかく今月も面白そうな本が目白押しです。この記事を作っていて楽しいのは個々の新刊だけでなく、やはり各著者や訳者の過去の刊行物を拾っている時です。みなさまもどんどんリンクをクリックしてもらえればと思います。(ちなみにアフィリエイトではないです) 溺れる少女 作者:ケイトリン・R・キアナン 河出書房新社 Amazon 2012年に発表され、ブラム・ストーカー賞、ジェイムズ・…

本・これでもいいのだ の感想

最近はあまり聞けていないのですが、以前ラジオを毎週聞くようにしていた時期があります。CMも飛ばせない、映像も見られない。音でしか構成されない世界は、一見すると不便でしかないのに、とても魅力的で、誰かの話をゆっくり聞くということがこんなに贅沢なことなのか、と気付かされました。また、時間ができたら聞きたいです。 ラジオを聞いていた際に名前を知った方に ジェーン・スーさんという方がおられます。お名前から韓国とかの方なのかな?と思っていたら、そうではないそう。それ以来、何度かお名前を聞いていて、気にはな…

【感想】恩田陸『蜜蜂と遠雷(上)・(下)』(幻冬舎文庫)

恩田陸『蜜蜂と遠雷(上)・(下)』(幻冬舎文庫)の感想になります。 ※ネタバレを含みます※ 恩田陸『蜜蜂と遠雷(上)・(下)』(幻冬舎文庫) 音が見える、心が震える――才能と情熱の競演 あらすじ 恩田陸『蜜蜂と遠雷(上)・(下)』(幻冬舎文庫) 蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫) 作者:恩田陸 幻冬舎 Amazon 蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫) 作者:恩田陸 幻冬舎 Amazon 音が見える、心が震える――才能と情熱の競演 あらすじ 近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。…

タッパのデカい女の子は好きですか【やちるさんは褒めると伸びる】

今日は【やちるさんはほめるとのびる】を紹介するよ。 キャラクターとあらすじ ・やちるさん 現代に生きる“八尺様”本来は240cmの身長の女性の姿をした妖怪だが、八尺様=エロいというイメージで本来の力を失い、身長も190cmに縮んでいる。なんとかイメージを払拭しようと八尺様の怖さをつ伝える動画配信、お化け屋敷のアルバイトの活動を行うが、本人の天然なところが足を引っ張りうまくいっていない。 ・名桐誠一郎(なぎり せいいちろう) 気分が悪くなっていたやちるさんを介抱した大学生。八尺様の大ファンで、最近…

#2025年に読んだ本

先日、2025年に観た映画をまとめたので、今回は2025年に読んだ本。 こちらはランキングではなく読んだ順に羅列。 試験勉強の合間に、ちょこちょこと読んでいた。 よく読めてたな。 Phantom ファントム (文春文庫) [ 羽田 圭介 ]価格:759円(税込、送料無料) (2026/1/11時点) 楽天で購入 この動画を観てすぐ読んだ。 やっぱり大切なのはいくら稼ぐかよりも、そういうことだよねというラスト。 とりあえず、動画を観ると読みたくなると思う! 国歌を作った男 [ 宮内 悠介 ]価格:…

シブヤニアファミリー (6) 感想

シブヤニアファミリー(6) (少年サンデーコミックススペシャル) 作者:久米田康治 小学館 Amazon 今巻は「なぜこんな事に…」な前フリで始まる作品が多数収録されていたね。これまでも冒頭で前フリをするというのはあったけど、今巻ではオチの先にあった光景としての前フリ表現も見られ、一旦読み終わった後にエピソード冒頭に戻るともう一度楽しめる構成になっていたように思えるよ 今般はAIによる画像生成は色々な意味で話題だけど、本作でも遂に言及したね。まあ、入力内容に問題が有ったのか生成に問題が有ったのか…

【読書】突然、あなたが総理大臣になったらどうする??

中山七里さんの『総理にされた男』を読みました。 <PR> 総理にされた男 (宝島社文庫) [ 中山七里 ]価格: 770 円楽天で詳細を見る 読み応えのある作品を読みました。 解説の池上彰さんが言うように、自分が総理大臣になったときのシミュレーションのような小説でした。 経済や政治の入門書としても捉えられるような作品でした。政治家の裏話も垣間見たような気がしました。日本が抱えている大きないくつかの問題も、どうして問題になっているのか、どういう仕組みになっているか等、わかりやすい説明が付いていまし…

松岡正剛「知の編集術」

編集という言葉をしっかりとその意味を考えたことはありませんでした。「編」には順序だてて並べる、という意味があります。編集は「集めて順序だてて並べる」ということになりそうです。とすると日々たくさんの情報の中かから何かを選択し、並べてみて、行動することは全て編集ということになります。料理も洗濯も旅行も勉強も。 その方法を松岡正剛さんがまとめました。 最大のキーポイントは楽しむ、ということに尽きます。日々の生活が編集であるならば、そこに何か違った視点を入れることで同じような毎日が違ったものになりそうで…

なんのため、『生きる』乙川優三郎

『生きる』乙川優三郎 文春文庫 生きる (文春文庫 お 27-2) 作者:乙川 優三郎 文藝春秋 Amazon 第127回直木賞受賞(2002年上期) 主君がなくなった後自害する「追腹」を談合(っていっていいよな)で禁じられた又右衛門が家族からの信頼を失い、そしてひとりひとり去っていき、なにもなくなったその底から至る過程が自分にもそういうことがあるかもしれない、生きる意味とは何だろうと。生きる時代によって、生きる基準も決められる。それに従って生きるしかないのだろうか。 現代は生きることが尊いと言…

もう2026年が体に馴染んできた

今週は3冊読みましたー。 綿矢りさの『嫌いなら呼ぶなよ』 北沢陶の『骨を喰む真珠』 今村昌弘の『兇人壮の殺人』 いやもう、全部面白かったですね。 1冊目の『嫌いなら呼ぶなよ』は笑いましたねー。 やっぱり綿矢りさのユーモアセンス、好き。短編4作なんですけど、特に最後のやつが面白くて、読むことで残りページ数が減っていくのが嫌でしたね。「おばさん二人がメールで喧嘩するのを見せられる話」って。それだけでもう面白いもん。 これ読んでる途中、人間関係のトラブルに対する耐性とか経験値って女性のほうがあるよなー…

柚木麻子の『BUTTER』を読んだ

柚木麻子の『BUTTER』を読んだ。2017年に新潮社より刊行された長編小説だ。以下の概要はAmazonより引用: 木嶋佳苗事件から8年。獄中から溶け出す女の欲望が、すべてを搦め捕っていく――。男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長…

こころ 夏目漱石

久しぶりに「こころ」を再読しました。やはり本は歳を重ねるごとに再読すると感じ方が微妙に違ってきますね。 以下ネタバレになりますのでご注意ください。 読後に数年前にSNSにおけるある話題を思い出しました。そこではなぜ先生が自死したのかよくわからないという意見があり、古典を熟読しているある方が説明していました。すなわち 先生は明治時代(の精神)に殉死したのだ と。 そのまんまじゃないかと言うなかれ(笑)。確かに先生の手紙にそう書いてありますね。しかし、その「殉死」というのがわからない人が多いのです。…

本を持って行き、財布を忘れる

外出で何が楽しいかと言えば、どんな本を持っていこうかと考える時間が楽しい。外出時なので冊数は限られる。本当に今読みたい本だけを選抜する時間が始まる。家に帰って読みたい本は主にハードカバーが多いのでそれは外すとして。しかし朝井リョウの新作はその例外で面白すぎたので、ハードカバーでも電車内立ち読み余裕だった。夢中になると集中力が増すが、他のことへの注意が不十分になる。財布が抜けたり、水筒を忘れたり。移動中の読書はカフェほどゆっくり出来ないけれど、集中力が高まる大事な読書場である。必ずしも油断できない…

【読書】『ガイシの女』 2026

先日このタイトルにふと惹かれて読み始めたら、イメージと違ってミステリーでした。 あらすじはこちら⇩ 「ガイシ=外資系企業」で働く女は、使い捨てなの?キャリアを夢見るすべての女性に贈る会心作!バリバリ働くイメージとは裏腹に、実情はパワハラ、セクハラが横行するシビアな世界。企業犯罪の犠牲になった兄の無念を晴らす杏子が、「ガイシの闇」に立ち向かう!「推薦文を頼まれ、お義理で読むつもりだったのが、たちまち引き込まれ、夜中の2時まで一気に読了した。老若、善悪入り乱れ、魅力的な女性たちが巻き起こす『怪事件』…

雑記 - 西澤保彦『方舟は冬の国へ』

西澤保彦『方舟は冬の国へ』を読み終えた。 作中で言及されているように、荒唐無稽な道具立てに、懐疑と推論から錯綜していく現実、どういう結末を--破綻か、昇華を迎えるのだろうか…と思いながら読み進めての、最終話、最後の2節で全部持っていかれた。 終盤に開陳された死者の残留思念、神の意識へのチャンネルを接続する、といった誇大妄想に聞こえる内容を踏まえて、どこまでも考えられるようであり、和人、理香、玲衣奈、離れがたい結びつきが出来たこの三人が生きてその未来へ進みたい、という意思として読みたい気持ちあり、…

読書「濁り水」日明恩

日明恩さんの、消防士が主人公のミステリー小説。すごく面白かった、とまでは言えないけどまずまず楽しめた。シリーズものの四作目と知らずに読んでしまったが、登場人物については適宜説明が挟まるので大きな問題はない。 濁り水 Fire's Out 作者:日明 恩 双葉社 Amazon 先日読んだ「和菓子のアンソロジー」で、どら焼き描写が印象的だった、日明恩(たちもりめぐみ)さんの作品である。しかし、この漢字でたちもり、とはなかなか読めないよなあ。行きつけの図書館に、たまたまこの一冊が置いてあったので借りて…

さよならバースディー荻原浩

評価4 再読。 ピグミーチンパンジー(ボノボ)のバースディを使って言語習得実験を行なっている研究者が求婚した直後の恋人の自死に直面し、その謎に迫るミステリー。 東京霊長類研究センターの田中真は類人猿研究プロジェクトチームの助手として同僚で恋人の由紀とともに精力的に研究に取り組んでいたが、師と仰いでいた安達教授の死が二人の間に重苦しい空気を漂わせているのだった。田中はある夜、由紀へ求婚するのだが、由紀からの返事は「少し待って欲しい」というものだったが、田中は由紀の承諾を確信して心躍る思いを抱いたま…

読書の「正解」から離れる

最近ポッドキャスト「To The Lighthouse - 視点と生活のラジオ」をザッピングのように聞いている。京都の哲学者、谷川嘉浩さんが、身近なことから雑談するラジオで、トークテーマや語りの雰囲気が好きなんだけど、最近聞いた第27回、「本を一回読んでどれくらい理解できますか?」というエピソードが、印象的だった。 open.spotify.com どんな話かというと、谷川さんはよく「本を1回読んで、どれくらい理解できますか?」という質問を受けるらしいんだけど、その質問自体に結構驚く、という話を…

今日の一冊 『イラストでわかる 日本の仏さま』

日曜夜にこんばんは 本好きVtuber(近日デビュー予定)本多よむがお勧め本を紹介する『本多よむの異界図書館』のお時間です 新年になったと思えば、あっという間に鏡開きの日 今は生もちからこしらえた鏡餅を飾るご家庭は少なくなったと思いますが、寺社仏閣では大きな鏡餅がお供えされているところをお見掛けしますね 鏡餅は刃物を使わずに小さくしろなどと言いますが、お供えの大きな鏡餅はどうしているのだろうと昔から疑問です 木槌で割るとしたら、何人か交代でないと大変そうなどと思ってしまいます 鏡餅はお雑煮やお汁…

『神さまと神はどう違うのか?』上枝美典 ちくまプリマ―新書 感想 異なる信仰を理解するには

あらすじ・概要 世界には多神教の神と一神教の神を信じる人がいる。神様を信じない人もいる。西洋哲学を専門とする著者が、一神教を信じる人たちとそれ以外の人たちでどう価値観が違うのかを解説する。全知全能の神という概念が存在するからこその哲学的思索とは何だろうか。 神を信じる人たちの違いとは 日本人とキリスト教徒の「神様を信じる」は全く違うものという話。 日本人には宗教にいい加減な人が多く、それゆえに神様を信じる人たちへの理解が乏しいところがあります。 著者は大多数の日本人と同じように神はいるかもしれな…

【書評】かもめ(チェーホフ)―ポイントで読み解く名作文学

かもめ [作者:アントン・チェーホフ 出版年:1896年] 【1】新しい演劇 「動きのない」芝居 劇的な出来事もなければ、明快なメッセージもない。 視覚的な変化に乏しいからこそ、ますます難解な印象を受ける。 この戯曲は、只者ではない。 当時ロシアの文壇が直面していた、文学的なテーマの行き詰まり。 そして、作者チェーホフ自身が抱えていたという、文学的な課題。 これら2つの壁を見事に突破したという意味において、記念すべき作品でもあるのだ。 その目新しさは、作品の随所に見出すことができるが、今回注目し…

おばちゃんの読書

1月、「皇の時代」を読んだ 小山内洋子さんが師事していた小笠原慎吾氏の 理論を本として、世に出しもの この世は今、祖から皇の時代へと大変換機を 迎えている 現在は、移行期特有の混乱と混迷期 新時代「皇」を幸せに生きるためのルールと 秘訣、また現在の混迷期を生きる秘訣が 書かれている 本の装丁、導入部の内容からすると、 おばちゃんには、あまりに精神世界感が強く そしてまた難解なので、人にオススメいただか ないと手にしない部類の本なのだが 読んでいる間、鳥肌が立ちガーンと衝撃を受けた 今の時代や若い…

『薔薇の名前・完全版』を読んでます

昨年末から読んでいる『薔薇の名前・完全版』。 読了してすぐまた再読しています。ほんとにおもしろい。上巻読み終え、 こうして付箋を眺めていると..... もはや神秘。 多彩な宝石に見えてきた。宝石の一つ一つが語りかけてくる言語、 記号どうしの語らい.... などなど下巻に出てきますが、付箋の一つ一つが語りかけてくるもの、 そして付箋どうしの語らい....を眺め、楽しんでいます。ところで、ウィリアムが、肌身離さず持っていたという薬草図鑑(『健康の劇場』)は実在します。 ファクシミリなら購入も可能です…

『人を操る禁断の文章術』メンタリストDaiGo

人を操る禁断の文章術 作者:メンタリストDaiGo かんき出版 Amazon メンタリストDaiGoさんの「人を操る禁断の文章術」を読みました。 本を開いて1ページ目のまえがきでDaiGoさんに心を誘導されました。 冒頭に1つの質問がありました。 「あなたの思う、世界最高の美女とは?」 自分はある日本の女優さんを思い浮かべました。 この質問に対する答えは人それぞれの頭の中。 文章に触発され頭のなかで浮かび上がったその美女は、絶対的な存在となり、誰からの非難も受けつけません。 誰もが納得の美女をつ…

保守一党優位が戦後の日本政治の特徴

政治のニュースのなんとわかりにくいことか。なんでアメリカに媚びへつらうのか、なんで増税ばかりするのか、なんで防衛予算を増やすのか。多くの国民が疑問に思っていることでしょう。ニュースになるのは、政治の細かい部分が多く、これがわかりにくくしている原因。もっと大きな流れで見ると、ざっくりとこの国の政治がどこから来てどこに向かっているのかが、おぼろげながら見えてきます。

寝正月から始まった26年の年初──痛みと回復と読書の一週間

世界は速く変わり続けるが、私は今年も「読むこと」と「歩くこと」を軸に、自分の速度で世界を解釈していく。その決意を確かめるように、年初は思いがけない寝正月となった。ここに、その一週間を記す。 26年の年初──寝正月から始まった一週間の記録 来週は、銭湯に行きたい。今週は、まさに「寝正月」で終わった26年の年初だった。 1月1日 昨夜(大晦日)は「ワイルドライフ」を見ながら、静かに26年目を迎えた。初日の出は、ちょうどその瞬間だけ雲に隠れ、光の輪郭だけが淡く滲んでいた。 午前中は、いつもと変わらない…

『救いたくない命』中山祐次郎、読みました。

よかったです。 「俺たちは神じゃない」第2弾です。 短編連作集6編。 表題になっている「救いたくない命」は 無差別殺人の犯人の手術。 「午前4時の惜別」 高校時代のサッカー部の顧問が紹介状をもって やってくる。 「メスを擱いた男」 第一弾で脊髄損傷の重傷を負った稲田医師のその後。

自由な新世紀・不自由なあなた

おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 人類の歴史のなかで、 「自由」というのは永遠のテーマでしょうか? 現代社会は、 それなりの自由を獲得できていますが、 確実に昔とは違う「不自由さ」を内包しています。 哲学者たちも 「自由とは何ぞや?」という問いに対して 深く、深く追求してきていますが、 時代が変われば定義も変わりますし、 実に難しい難問だなとも思います。 私自身の日常としては たぶんかなり自由を謳歌しているほうです…

「お金がないと生きていけない」というのは本当か?

「暮らすって物入りね」 以前にこのタイトルで記事を書いたのを覚えています。 ジブリ作品の『魔女の宅急便』に出てきた台詞です。 この台詞をワタシは単純に考えていたかもしれませんー 「生活するってお金がかかるんだなぁ」と。 「お金がないと生きていけない」と思っていました。 このことに疑問すら持ったことがなかった。 この本を読むまでは。 『独立国家のつくりかた』です。 著者は坂口恭平さんです。 彼は一人で国をつくっちゃいました。 しかも0円で。 坂口恭平さんをご存知でしたか? 著書の「まえがき」に自己…

「できる」と「できない」の間の人

印象に残るお話がたくさんありました。 P5 いつも何かと何かの間に引っかかって、何者にもなれずにいる。いつもジタバタともがくばかりで、どこにも根を張れず、肩書きもないまま齢だけ重ねてきた。 そんなふうにいつも中途半端なのは、大事な何かが、私に欠けているせいだと若い頃から思っていた。やると決めれば体当たりでぶつかっていくが、結局、どれも長くは続かない。書くことだけはずっと続けてきたが、生業にはならずにきた。 ・・・ 子育てがひと段落して、さあ、働くぞとグイと足を踏み出したら、そのまま6年間の「うつ…

チンチロリン裁き

あるところに、すべての裁きをチンチロリンで決める将軍様がいた。 その名も――チンチロお代官。 城の奥座敷には、金の屏風と、年季の入ったどんぶりが一つ。 罪人が連れてこられると、取り調べも証言もない。 「静まれい。 この世で最も公平なものを、これより振る」 そう言って、お代官は三つのサイコロを両手で包み、 からん、と音を立ててどんぶりに放り込む。 出目がすべてだった。 ピンゾロが出れば無罪放免。 シゴロが出れば情状酌量。 ゾロ目なら重罪。 ヒフミが出れば―― 「……残念じゃのう」 とだけ言って、判…

「彼方へ」 1973

★★★★☆ あらすじ 愛人との会話がきっかけで、死を意識するようになった40代の会社重役の男。 感想 兄は会社重役、弟は役者の兄弟を中心に、周辺人物も加えて順番に語り手が入れ替わりながら進行する物語だ。いつの間にか視点が変わっている文章が面白い。少し取っ散らかっているそれぞれの語り口も、実際の心の中のつぶやきを文章化したようでリアルだ。 兄の愛人から始まる物語は、皆の心に少しずつ死の不安が広がっていく様子を描き出す。彼女の言葉をきっかけに、出会った人たちの間を死のイメージが伝播していっているのよ…

(読書記録)会社はあなたを育ててくれない~「機会」と「時間」をつくり出す働きかたのデザイン

現代の働き方について考察した一冊。 --------------------------- “会社は育ててくれない”時代のなかで、成長の「機会」と「時間」を自分で生み出す「働きかたのデザイン」の入門書。--------------------------- タイトルの「会社が育ててくれない」というのは、必ずしもネガティブな話ではないと感じるところ。確かに会社が育ててくれるのが従業員目線ではうれしいものの、働き方改革など労働時間削減・効率化が謳われている現代では、限界もあるだろうと思う。 本文のメ…

GPTに世界の文字を読ませてみた:中央アジアの文字

ソグド文字は中央アジアを中心に使われたが、アラム文字から派生し、横書きで右から左に読む西アジア的特徴を残している。一応Unicodeにあるらしいが、GPTには発音表記と日本語訳のみ頼んだ。出典については、「実在文献(仏典断簡・商業文書・書簡)の定型表現をもとにした標本用散文である可能性が高い」と言って来た。 ʾw šʾh δʾr ʾrtʾw xwβʾn frʾmʾnʾk ʾst δʾr ʾrtʾw nʾy βwδ xšʾyθy xwβʾn frʾmʾnʾk mʾn βʾγʾn βʾryʾkʾn …