トピック一覧

技術

AI時代、人間は非完全情報ゲームを担う

私が「AIには開発できない(だから引き続き人間が担うしかない)」と一年ほど前まで言い続けていたものがいくつかある。その代表がOSだ。自分がかつてOS開発に関わったから、という思い入れもある。だがそれを抜きにしても、OSがもっとも難易度の高いソフトウェアの一つだと言って、正面から反論する人は少ないだろう。優秀なエンジニアでなければ担当できない領域だ。AIがいくら優秀になっても、さらに進化を続けても、この複雑なソフトウェアだけはAIには作れない。そう考えていた。 OSと同じくらい難しいと思っていたも…

私がAI時代に「プログラミングを愛する」ということ

はじめに AIに雛形を頼んだら、数秒で、過不足のないコードが返ってきた。 助かったはずなのに、手が止まった。 何かを、取り上げられた気がした。 このコードは、僕が書くはずだった。書かなくてよくなった。それの何が不満なんだ、と自分でも思う。雛形も、調査も、よくあるバグ取りも、頼めば一瞬で返ってくる。口では「助かる」と言う。なのに、好きだったはずの何かが、静かに手元からこぼれていく。たぶん、僕だけではない。 「プログラミングを愛する」とは、これからどういう意味になるのか。 意外かもしれないが、この問…

git worktree と新玉ねぎ

つい最近まで、私は新玉ねぎと普通の玉ねぎを別の野菜だと思っていた。しかし調べてみると、実は両者の違いは「収穫後に乾燥処理をしているかどうか」だった。 「乾燥させていないだけ」という本質的な違いを知ると、新玉ねぎの水分が多い理由も日持ちしない理由もすべて腑に落ちる。新玉ねぎは冷蔵庫に入れないといけないのに、普通の玉ねぎは軒下で保存できる理由もよく分かった。水分をたっぷり含んだままのものは冷やして守るしかなく、しっかり乾燥させて茶色い鎧をまとったものは外気にも耐えられるのだ。 1 これと同じような体…

もし、今からAWSのエミュレーターを選ぶならどれにする?

はじめに カミナシでエンジニアリングマネージャーをしてます、すずけん(@szk3)です。 唐突ですが、皆さん AWSのエミュレーター使ってますか? 自チームのプロダクトはS3、DynamoDB、STS、IAM あたりの AWS サービスに依存していて、ローカル開発やテストではこれらのエミュレーターを使っています。ただ、歴史的な背景からリポジトリには LocalStack、RustFS、Moto の 3 種が混在していて、用途ごとに考えることが地味に増えてしまった状態でした。 この記事では、その …

Lambda PDF生成を27倍高速化した話 — Puppeteerから@react-pdf/rendererへの移行レポート

こんにちは。Findy Freelance開発チームの久木田です。 今回は、社内で運用している支払明細書PDFの生成基盤を、Lambda + Puppeteerから@react-pdf/rendererへ全面的に移行した話を書きます。最終的に処理時間はP50(中央値)で約27倍速くなり、メモリ消費も実測で約1/4まで落とせました。 これまでのPDF生成基盤と課題 対症療法でしのいだ期間 根本対応を決めた3つの背景 技術選定: 戻れる順に試す 移行で押さえておきたい実装ポイント 設計と実装のキモ …

転職のお知らせ(株式会社10Xに入社しました)

from: LINEヤフー株式会社 to: 株式会社10X 2026年6月1日付で株式会社10Xに入社しました。 Stailerというネットスーパー・小売業のDXを支えるプラットフォームの開発をやっていきます。まずは1つのクライアントアプリから始まり、追々複数アプリを横断的に見ていったり、バックエンド含めた様々な領域に染み出していければと思います。 Flutterでのアプリ開発となり、Swiftを仕事で使う機会はなくなってしまいますが、今後もiOS・モバイル界隈の方々はどうぞよろしくお願いします…

【エンジニアの日常】エンジニア達の人生を変えた一冊 Part7

こんにちは、ファインディでFindy Toolsの開発をしている本田です。 この記事は「エンジニア達の人生を変えた一冊」として、ファインディのエンジニアが人生を変えた本を紹介していくシリーズです。 Part7では、本田・加藤・山田の3名でお届けします。アジャイル開発との出会いになった本、iOSアーキテクチャ設計の答え合わせになった本、AI時代に再読して背筋が伸びた本。3冊それぞれ切り口は違いますが、いずれも自分の中の「開発の判断軸」を作り直してくれた一冊です。 それでは、さっそく紹介していきまし…

AI時代に『Good Code, Bad Code』を読み返してみる

『Good Code, Bad Code』はコード品質や設計の基礎を学べる書籍です。AIによってコード生成が容易になった現在でも、設計・モジュール分割・エラーハンドリングといった考え方は依然として重要です。本記事では特にAI時代でも価値が残る内容を紹介します。 Good Code, Bad Code ~持続可能な開発のためのソフトウェアエンジニア的思考作者:Tom Long秀和システムAmazon はじめに 最初にこの本を読んだのはもう2年半前、、、早い、、、。当時も紹介ブログを書いています。 …

AI時代のエンジニアが目指すべき"テックリード"について

In short: 「解くべき課題から逆算して技術を使えるエンジニア」を目指せ AI時代のエンジニアはテックをリードする人ではなく、 テックでリードする人 を目指すべきだ。どこの会社にも、掲げるミッションを達成するために解くべき課題というのがあるはず。 それらを見極め、技術を使って解決していく のだ。 背景: 技術力の重心が変化してきている これまでは 高度なコーディング能力に需要があった (知識、判断力、発想力、発信力)。よりスマートな方法を思いつけるか、脆弱性やバグに事前に気が付けるか。登壇…

distrolessコンテナイメージ使おうとして依存が足りないときはどうすればいいですか?あ、OCamlなんですけど。

この記事は基盤開発チームブログリレー4日目の記事です。 こんにちは、エンジニアリンググループ基盤チームリーダー兼General Managerの横本(@yokomotod)です。 ありのまま今起こった事を話すぜ…おれは基盤チームブログリレーを走ると思っていたらいつのまにかOCamlブログリレーだった… 何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…頭がモナドになりそうだった… www.m3tech.blog www.m3tech.blog www.m3tech.blog …

ECS Exec のセッションログを専用 S3 バケットへ分離する

はじめに 既存構成 課題感 設計 CloudWatch Logs ではなく S3 に倒す クラスタ単位で S3 prefix を切る 実装 ECS タスクロールに付与する IAM ポリシー ECS クラスタの executeCommandConfiguration おわりに はじめに Amazon Linux 2 (以下 AL2) の EOL (2026 年 6 月 30 日) が近付いてくる昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。 弊社では SSH 踏み台として使う EC2 インスタンスを AL2…

t-wada(和田卓人)が語るAI時代のソフトウェアエンジニアの生存戦略 TDDの意味、キャリアの柱を築く思考と技術的審美眼の磨き方

この記事でわかること キャリアの柱を複数持つべき理由 技術選定を左右する審美眼の養い方 AI時代以降も活躍するソフトウェアエンジニアであるための考え方 ソフトウェアエンジニアとして働き続けるなかで、どんな技術を学び、なにを拠りどころにしてキャリアを築いていけばいいのか。そう考えることは少なくありません。 テスト駆動開発の第一人者として知られる和田卓人さんも、最初から明確なロールモデルや完成されたキャリア像を持っていたわけではありませんでした。設計も実装も自分で担いたいという思いを抱えながら、失敗…

「それ本当にMVP?」 AI時代にプロダクトが巨大化する理由をふりかえる

「それ本当にMVP?」AI時代にプロダクトが巨大化する理由をふりかえる おはようございます。シャトレーゼに入ったときのいい匂いの根源がなにか気になっている daipresents です。あれ、ほんとなんの匂い? この1年、AIがとてつもないスピードで進化しており、活用するエンジニアもどんどん進化しているように感じています。 僕は「カミナシ 教育」と「カミナシ 従業員」の2プロダクトにかかわっているのですが、「小さく作ったつもりが、結果的に大きくなっちゃった」というケースが、立て続けでありました。…

クレジットカードのオーソリと請求金額のお話。

ホッテントリを眺めていたら、このエントリを見つけたので。 元記事のブコメを見ていると、結構意見が割れていて興味深かったです。 goldhead.hatenablog.com TL;DR 一定金額内であれば仮売上(オーソリ)を超える金額で請求しても良い、というルールを多くの国際ブランドでは条件付きで導入しています。 一部の国際ブランドや、日本国内のアクワイアラ、決済代行業者は許可していない場合があります。 上記以外にも増分オーソリや再オーソリと呼ばれる形で、差分を請求したり再度取引をやり直す事で実…

はてな匿名ダイアリーで記法に関する不具合を修正しました

いつもはてな匿名ダイアリーをご利用いただきありがとうございます。この度、はてな匿名ダイアリーにおいて、TeX記法および スーパーpre記法(シンタックス・ハイライト)が正常に反映されていなかった不具合を修正いたしました。 修正された機能と記述方法について TeX記法 MathJaxを使って数式を表示する記法です。以下のように記述することで、数式が綺麗に表示されるようになります。 [tex: N = R_* \times f_p \times n_e \times f_l \times f_i \…

自治体職員は「より良くしていく」アジャイルを体現していた──受託側が語るワンチームの舞台裏【東京都のアジャイル型開発B-side】

年度末の予算成立に向けて仕様書を固め、入札を経て、要件に合わせたシステムをウォーターフォール方式で開発していく──そんな進め方が一般的だった自治体のシステム開発のあり方が、近年変わりつつあります。 中でも大きな反響を呼んだのが、2022年から2023年にかけての東京都の取り組みです。社会情勢の急速な変化に対応し、限られたリソースで現場のニーズにマッチしたシステムを迅速に実現するため、アジャイル方式を採用して4つのプロジェクトを遂行。さらに、そこで得られた知見をクローズドにせず、「アジャイル型開発…

多種多様なサービスを支えるエンジニアグループが「開発生産性の一歩手前」にゆるく楽しく取り組んだ話

1. はじめに:チームの「コミュニケーション」と「生産性」に悩んだ話 こんにちは!フロントエンド4名、バックエンド4名が所属するエンジニアグループでマネージャーをしている鈴木です。 私たちのグループは全員で1つのサービスを開発しているわけではなく、多種多様な事業のサービスを幅広く担当しています。メンバーそれぞれ異なる文脈、異なるタイムライン、異なるステークホルダーのプロジェクトを並行して進めているのが特徴の一つです。 さらに全員がフルリモート環境のため、どうしても「普段の業務で関わる人が固定化さ…

Webエンジニアなら知っておきたいIaCの歴史

はじめに 「Webエンジニアなら知っておきたい」ということで、今回はIaC(Infrastructure as Code)の歴史についてです。 IaCをやろうとすると、CloudFormation、Terraform、CDK、Pulumiと選択肢がたくさんあります。どれを使えばいいのか悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。 なぜこんなにツールがあるのかというと、それぞれのツールが何かの課題を解決しようとして生まれたからです。 今回IaCがどのような課題を解決しようとしてきたのか流れを私な…

CLIツール開発言語として OCaml を使ってみている

基盤開発チームブログリレー2日目の記事です。 1日目は田尻さんがOCamlについて書いてくれました。そのOCaml熱にあおられ私も仕事で使い始めたので、私も便乗してOCamlについて書いてみます。 www.m3tech.blog 覚醒したラクダ はじめに OCaml、書いてますか。私も書いています。仕事の補助ツールとして。 こんにちは、基盤開発チームの林です。 以前まで、ちょっとしたCLIツールを作る言語としては、簡潔に書ける Ruby を使うことが多かったのですが、最近はAIエージェントをよく…

TSKaigi 2026 の発表資料の体感半数以上が AI 生成感あるものだった

5/22(金)〜5/23(土)にかけて、TSKaigi 2026 というイベントに行ってきました。興味深いトークがあった一方で、AI 生成と見られる発表資料が多数あったのが印象的でした。ほとんどの登壇者は AI で作ったと言ってないので推測ではあるのですが *1、見るだけで「AI 生成だな」と分かる感じでした。体感6割は AI 生成だったと思います。 去年はこのようなことがなかったので驚いてます。AI でスライドを生成するツール (Claude Design/Google Slides/Gens…

サプライチェーン攻撃に怯えないために設定した5つのこと

ここ数ヶ月ほどサプライチェーン攻撃の被害が続いています。手元では各種パッケージマネージャを使いますし、AIエージェントやプラグイン機構のあるアプリケーションを使っているので、攻撃の影響を受けないとは言い切れません。サプライチェーン攻撃に対して完全な対策はおそらく不可能と思われるため、被害を受けたとしても影響を小さくするための対策をいくつか手元環境に実施しました。方針としては以下の通りです。 環境変数やファイルシステム上にむき出しの認証情報をなるべく残さない 避けようがない場合は必ず暗号化を施して…

京都最強の通りをPageRankで決めたい

こんにちはこんにちは、 id:crashrt です。 京都の交差点って命名規則が面白いですよね。 四条河原町とか河原町三条とか、多くの場合は交差する通りの名前を組み合わせたものになっています。 そしてどうやら大きな通りを先にすることが多いみたいです(河原町通よりも四条通の方がでかい、みたいに)。 交差点名から通りの強さを決めたい 交差点名から勝敗が分かるなら、当然「京都最強の通り」が気になってきます。 四条河原町と河原町三条という交差点の名前から、四条>河原町>三条、みたいな順番を作るというのを…

AIが発達しても人間にわからないコードを書くようにはならない

「AIが人間にわからないコードを書くようになる」という話、割とよくみかけるので書いておきますね。 これ、「AI専用の言語があらわれる」「AIが直接バイナリを吐く」の亜流です。 AI専用の言語があらわれない話はここ。 AI専用のプログラミング言語は現れない - きしだのHatena AIがバイナリを吐くようにならない話はここ。 AIがバイナリを直接吐くようにはならない - きしだのHatena というか、AIが読み書きするコードも読みやすいほうがいいという話をすでに書いていた。 AIが読み書きする…

仕様駆動開発をする前に押さえておくべき「振る舞い仕様」のこと

仕様駆動開発とは振る舞いに関する仕様を実装に先立って(ときにAIと共同で)書き、その振る舞い仕様をもとに AI に実装を指示する開発スタイルです。ではそのとき AI とともに作り上げる「振る舞い仕様」はどんな形で書くのがよいのでしょうか。この記事では振る舞い仕様の4つのポイントを易しく解説します: 振る舞い仕様に適したフォーマット 振る舞い仕様をAIと作成する方法 振る舞い仕様が意図に沿っているか AI と確認する方法 実装が仕様通りに振る舞うか AI と確認する方法 仕様とは何か その前に、そ…

コミュニケーションの摩擦は仕組みで減らす。フルリモート環境で開発案件をなめらかに進めるアプローチ

こんにちは。ネット予約システムの開発担当チームに所属しているたかいです。 私たちの開発チームは、現在完全リモートワーク体制で開発を行っています。通勤時間がなくなり、個人の集中時間を確保しやすいというメリットがある反面、チーム内のコミュニケーションにおいては「オフィス時代と同じようにはいかない」という課題に直面しました。 今回は、私たちがリモートワーク下で直面した課題と、それを解決するために「意図的に」設計したコミュニケーション施策について紹介します。

エンジニアの「モヤモヤ」を言語化する倫理的意思決定の「セブン・ステップ・ガイド」

日々の業務や個人開発の中で、「これって技術的には可能だが、本当にやっていいのだろうか」「波風を立てたくないが、このやり方は筋が悪い気がする…」とモヤモヤすることがある。ITエンジニアは、コードを書くプロセスからチーム開発のコミュニケーションに至るまで、常に「正解のない意思決定(倫理的ジレンマ)」に直面している。コンプライアンスや法律のギリギリのラインを攻める時だけでなく、日常的なチーム内の振る舞いにおいても判断に迷う場面は多いはずだ。そんな時、直感や感情、あるいはその場の空気に流されるのではなく…

わずか16バイト(キロですらない)のデモ「Wake Up!」

デモパーティー「Outline 2026」において披露されたという僅かサイズ16バイトでマトリックス風のテキストによる映像と更にはサウンド出力まであるIBM-PC用のデモ「Wake Up!」 技術的な解説も行われているが、詳細はそちらを見れば大体わかるとはいえかいつまんで書いてみた。 16バイトという、画像とか以前に文章ですら英語でも16文字・日本語などだったら5~8文字しか収まらないようなサイズで一体全体何をどうしたらこんなデモができるんだ!と驚くが、アセンブラソース自体はかなりシンプル。 i…

AIで誰もがツールを作る時代、実は来ないんじゃないか説

少し前に生成AIでSaaSが終わる、という話をよく目にした。というか今でもよく聞く。「SaaS is Dead」というフレーズで語られたりもするし、AI市場全体の今後を予測する文脈で出てくることもある。 ただ、自分の周りで実際に起きていることを並べて眺めてみると、それほど単純な絵にはならない。市場のどこが本当に変わって、どこは変わらないのか、昨日そんな話をしたので書く。 消費者向けのSaaSは当面なくならない 僕は「これからは誰もが自分でツールを作る時代だ」とは思っていない。そもそも「自分で何か…

アイデンティティシフトを生きる — Google I/O 2026 二日目に思ったこと

Google I/Oが終わった。 昨日、「Disruptする側、される側」と題して、Google I/O 2026 初日のモヤモヤを書いた。「明日、I/Oの2日目がある。…私はそれを見届けてから、もう一度考えたい」と結んだ。今日はその続きだ。 それにしても、今日も暑かった。昔のように、サンフランシスコ市内のMoscone Centerでの屋内開催にまた戻らないだろうか。 ちなみに、昨日のブログは思いもよらぬ反響があった。賛同もあれば、厳しい否定もあった。正直、多少は傷ついた*1。が、誰かの考える…

分割キーボードをやめた

株式会社カミナシで VPoE を務めている pospome です。 (´・ω・`) ここ数年ほど分割キーボードを使っていたのですが、やめました。 ↓はウッキウキで分割キーボードを買ったときの記事です・・・。 www.pospome.work なぜやめたのか 1. 分割キーボードがない環境だとタイピング能力が落ちてしまう 2. 重くて持ち運びするのが辛い。 実際やめてどうか? まとめ 宣伝 なぜやめたのか 以下の理由があるからです。 1. 分割キーボードがない環境だとタイピング能力が落ちてしまう …

SmartHRでのモジュラモノリス推進の振り返りと今後

こんにちは、SmartHRでプロダクトエンジニアをしているkureです。 SmartHRでは2023年から一部パッケージでモジュラモノリス化の取り組みが始まり、2024年にコードベース全体での推進が決まりました。本記事では、私たちがなぜモジュラモノリス化に取り組んだのか、どのような成果と課題があったのかを、現場の実体験を通じてお伝えします。 モジュラモノリスという手法は近年注目を集めていますが、実際に導入・運用してみると理想と現実のギャップに直面することがあります。私たちの経験が、同様の課題を抱…

ソフトウェアを作って、ドキュメントを書かせる:LLMによる技術ドキュメンテーションの自動化

ここ半年ほど、Previous Riverという Obsidian プラグインを作っていた。このプラグインは、フロントマターの previous プロパティを利用してノートの前後関係を自動認識し、スムーズな移動を実現するものだ。想定していなかったバグを直し、ノートが大量につながると移動が遅くなってしまう問題を最適化し、俯瞰するためにObsidianのcanvas形式で出力するなど、一通り欲しい機能が完成した。 一つのソフトウェアを「普段使いに不満がないレベル」まで磨き上げると、既存の資料を読むだ…

ソフトウェアサプライチェーン攻撃対策実践レポート 2026春

こんにちは、アンドパッドセキュリティチームの小野寺です。 近年、ソフトウェア開発のエコシステムを狙ったソフトウェアサプライチェーン攻撃が大きな脅威となっており、開発環境や CI/CD パイプラインにおけるセキュリティの強化が急務となっています。 アンドパッドでは、以前のブログでご紹介した EDR によるサプライチェーン攻撃対策とあわせて、より多層的な防御策の導入を進めています。 本記事では、弊社が直近で取り組んだソフトウェアサプライチェーン攻撃に対する具体的な対策について、実践的なアプローチと実…

戦時中に短波ラジオを聞いてた人たち

1941年12月の電波管制により、戦時中は民間の短波受信機所持は厳しく制限されていた。短波放送を聴くと、これはスパイ行為だと怒られ、短波ラジオは押収された。短波受信する機能を潰して返却というケースもあったようだ。思想的な問題を持つ場合は、拷問などもされた。 www.japanradiomuseum.com だから敗戦後、短波ラジオを自由に組み立て平和を実感した人がいた。 余談ですが、太平洋戦争が終って間もない頃、神田の小川町から須田町界隈の歩道には電気部品専門の闇市ができました。文字どおり路上に…

AI時代に、チケットというUIはまだ最適なのか

バックエンドエンジニアの伊藤です。最近、AIコーディングエージェントを使った開発が当たり前になる中で、改めてチケットには何を書くのが最適なんだろう、そもそもチケットが生まれた経緯・役割はなんだったのだろう、AI時代にはチケットはどう変わるのだろう、ということを考えています。ここ1、 2年で、AIによってコードを書く速度が格段に速くなってきました。簡単な修正であれば、実装そのものは数分で終わります。バグの再現条件を渡し、関連しそうなファイルを読ませ、修正案を出させ、テストまで書かせることもできます…

AI以前のシステム移行を、AI思考で振り返る(OMS内製化)

目次 目次 はじめに プロジェクト概要 Order Management System (社内通称:OMS) について OMSサンセットプロジェクトについて プロジェクトにおける役割と実施内容 当時のフローと現行フローの比較 準備・調査 設計 実装・テスト シミュレーション・分析 経過観察・運用 プロジェクト成功の知見と、AI時代に新たに見えてきた課題 リスクとなるレビュー 新人教育への影響 おわりに はじめに こんにちは、コアシステムエンジニアリング(CSE)部門 配送ドメイングループの安見で…

ローカルLLMを動かすハードウェア

LLMを動かすハードウェア、軽くまとめておきます。 SoC LLMを動かそうとしたら、まず候補にしたいのはCPU+NPU+GPUのSoCが載ったマシン。 GPUカードのようなパフォーマンスは出ないけど、現実的な値段で大きいモデルが動かせます。 ※ 追記(2026/5/14) 現状ではMacだけ普通で他は特別なマシンという感じですが、インテルも対応した今後は「パソコンを買ったらLLMが動かせる。せっかくLLM動かすならちょっとお金を足して30Bが動く程度にメモリ積もう」となるんじゃないかと思います…

駆け込み面接

はじめまして。面接官をAIがなされることもあるんですね。少々とまどっておりますが、よろしくお願いします。自己紹介をさせていただきます。大学を辞めて25年、Webを中心に実績を積んできました。とはいっても、キャッチアップもしておりまして、最近ですとTypeScriptですか、ええ、サーバーサイドもクライアントサイドも両方、いや広く浅くといった感じでして、いやあ、お恥ずかしい限りでございます。実績ですか、そうですね直近ですとAIを使ったLINEチャットボットなんかをやっておりますね。そうですそうです…

Mini Shai-Hulud 第二波の概要と対応指針(TanStack Router を含む 200 超の侵害)

2026年5月12日、Mini Shai-Hulud キャンペーンの第二波が発生しました。TanStack Router を起点に、UiPath、Mistral AI SDK、DraftLab 等を含む 199 以上の npm パッケージが侵害されています。本稿執筆時点で、侵害可能性は継続しています。 第一波(4月29日〜30日)では SAP CAP 系・intercom-client・lightning の 6 パッケージが対象でしたが、第二波では CI/CD パイプラインの侵害によって有効な…

チームでの開発はどう取り組むのがいいんだろうな?

生成AIを使った開発。個人としては少し手に馴染んできているけど、チームでの開発はどう取り組むのがいいんだろうな?と思っている。この記事は、やってみた結果どうだったというものではなくて、これから試行錯誤するための頭の中の整理。 僕が自分の手でコードを書くことはもうない まず、AIを使っていて感じるのは「今後、僕が自分の手でコードを書くことはないだろう」ということ。すでにこの数カ月間、自分ではコードを書いていない。 誰かと仕事をするときに、コーディングを一緒にするのはいい時間だったなぁと思う。ペアプ…

Chrome DevTools MCP が凄い。人類が「プログラムにやってほしかったこと」が簡単にできる時代がきた!!

Chrome DevTools MCP に最近触れていて、衝撃を受けています。 Chrome DevTools MCP は、Claude Code などの MCP クライアントから Chrome DevTools Protocol(CDP) を通してブラウザを操作する仕組みです。ざっくり言えば、「AI に、普段使っている Chrome をそのまま操作させるためのインタフェース」です。従来の Selenium や Puppeteer のように大量の操作コードを書くのではなく、「このボタンを押して」…

Wado開発記録 ~ agentic codingによるプログラミング言語の設計と実装 ~

gfx.hatenablog.com これの続きです。 4ヶ月くらい100% agentic codingで新規のプログラミング言語 & 処理系(Wado; ワドゥ)を設計・実装してきて、ある程度明確になってきたことがあるので、雑多でMECEでもないですが、現時点での記録を残します。 Claude Code on cloud の実行環境が落とされる件 ほぼ claude code on cloud で開発していますが、こいつはかなりはっきりした独特の癖があります。 まず、1 session 1 …

今週のはてなブックマーク数ランキング(2026年5月第1週)

はてなブックマークのブックマーク数が多い順に記事を紹介する「はてなブックマーク数ランキング」。4月27日(月)~5月3日(日)〔2026年5月第1週〕のトップ30です*1。 順位 タイトル 1位 裁判官マップにとんでもない高評価の有能裁判官がいる...→警察が提出したドラレコ映像を裁判官自らバイナリレベルで解析して改ざんの証拠を突き止めた - Togetter 2位 GW中に「Claude Code」を一気に学びたい人のための記事・動画ガイド|梶谷健人 3位 はてな株に売り殺到、終日値付かず “…

『生成AI時代のクレデンシャルとパーミッション設計 — Claude Code を起点に』を書きます。個人開発者向けにコメント募集

Claude Code に作業を任せて席を外し、戻ってきたらコマンド許諾待ちで止まっていた。そんな経験ありませんか。 かといって全部 allow にしてしまえば、.env 読み出しや bash 任意実行のリスクが跳ね上がります。「席を外せる自律性」と「無制限許可の危険」のあいだに、どう線を引くか。この問いを 8 章で具体化する本『生成AI時代のクレデンシャルとパーミッション設計 — Claude Code を起点に』を、姉妹書と同時に 2026 年 11 月発売予定で執筆中です。 speaker…

おい、要件を動くものにしろ

はじめに ドキュメントは、書いた瞬間から腐っていく。 読まれない。検証されない。更新されない。それでも、要件と呼ばれ続けている。 第1部では、要件を言葉にする規律について書きました。引き出し、観察し、ジョブを見極めながら、業務領域の言葉で書く。6つの特性を満たし、検証可能な形にする。揺らぎと固執を組み込んで、自分たちの色を要件に乗せる。 そこまでやって、初めて要件文が立ち上がります。ただ、立ち上がっただけでは足りないのだと、最近は思うようになりました。 第1部で扱ったのは「書かれずに死ぬ要件」で…

AI駆動開発で、なぜミドルエンジニアは不安になるのか ── AIによる分業の終わりと始まり

AI駆動開発が「使える」となってきたことで、20代後半から30代中盤のミドルエンジニアが疲弊しているという話を聞きました。たしかに、エンジニアの中でも「AIは楽しい・これでもっと良くなる」という意見と「不安だ・これからどうなるのだろう」という意見に分かれているようです。私の周りでは、特にベテランが楽しんで、ミドルが不安になっているような構図を感じています。この記事では、システム開発における30年間の分業と統合の歴史を振り返りつつ、それぞれの世代が何を経験してきたのかを整理します。そのうえで、AI…

決済基盤の整合性設計を仕様から決める。バクラク請求書発行のカード決済における2つの判断

はじめに ケース1: 決済実行時の保存失敗 — 仕様は「ユーザー体験を壊さない」 課題と仕様 設計の考え方 ケース2: 送金結果不明 — 仕様は「統制・監査上の説明可能性」 課題と仕様 設計の考え方 おわりに はじめに こんにちは。LayerX でソフトウェアエンジニアをしている @ysakura_ です。バクラク請求書発行のカード決済機能の新規開発を担当しました。発行した請求書に対してクレジットカードでの決済を受け付けられるようにする機能です。取引先がクレジットカードで支払うと、バクラク請求書…

TSRX - AI時代のUIコンポーネント

TSRX(TypeScript Render Extensions)は、宣言的UIを構築するためのTypeScript言語拡張です。 JSXの精神的後継として位置付けられており、構造・スタイリング・制御フローを同一ファイルにまとめて書けるのが特徴です。TypeScriptとの後方互換性も保たれており、.tsrx モジュールはJS・TS・JSX・TSXファイルからそのままインポートできます。 コンパイルターゲットはReact・Preact・Solid・Vue・Rippleに対応しており、フレームワ…