トピック一覧

技術

Amazon CloudFrontの障害についてまとめてみた

2026年7月16日夕方、Amazon Web Services(AWS)のコンテンツ配信サービス「Amazon CloudFront」で障害が発生しました。PayPayなど、自社基盤への影響を確認・公表した事業者が国内外に見られたほか、ニコニコなど同じ時間帯に不具合が生じたサービスもありました。AWSは障害の原因について、CloudFront内部でVPC Originsへの接続を処理するサーバー群(fleet)が内部的な制約に達したことによるものと説明しています。ここでは関連する情報をまとめま…

SRE NEXT 2026で "xREとの連携による「SREの一日」と組織的協業の実際"というタイトルで発表しました!

こんにちは。 サービスプラットフォーム部 SRE チームの谷合です。普段はメガネ集めと、キャンプギア収集、毎日のビールを楽しみながら生きています。 2026年7月10日〜11日開催のSRE NEXT 2026 に登壇してきました。 「Inclusive SRE」のテーマの通り、様々なロールの方や経験者の方が多く参加しておりました。Devサイドの方との共同発表や、デザインの視点からCUJを考えるといったセッションがあり、「Inclusive SRE」を体現した発表だったなと感銘を受けました。 弊社…

2026年7月に起きたクレジットカード決済の全国的障害についてまとめてみた

2026年7月16日午前、全国各地でクレジットカード決済ができない、または利用しづらい障害が発生し、コンビニエンスストアや鉄道の券売機、ECサイト、モバイル決済など幅広い場面に影響が及びました。決済基盤を運営する日本カードネットワーク(CARDNET)や関係するカード会社、国際ブランドの担当者がそれぞれ状況について説明していますが、発信元によって説明の対象・内容は異なり、これらが同一の原因を指しているかは確認できていません。CARDNET自身は自社の障害ではないとしています。ここでは関連する情報…

Claude Codeのスキル設計で効く4つのポイント —— 「AIへの仕事の任せ方」を意識した設計

こんにちは、菊池(akikuchi_rks)です。 私の所属するチームではClaude Codeを開発フローに取り入れており、私自身も設計書のレビューや定型調査の自動化など、さまざまな業務でスキル(Agent Skills)を作成してきました。 スキルを書き続けていて特に感じるのは、「とりあえず動くスキル」と「安定して業務に組み込めるスキル」は別物だということです。同じスキルなのに実行のたびに結果の形が変わる、自分は使えるのにチームメンバーが動かすと品質が落ちる、という悩みに心当たりのある方も多…

リファクタリングは「知識をコードベースに落とし込む」──XPの実践から考える、AI時代も変わらない原則

こんにちは、ユーザベースの野口です。2019年7月にユーザベースに入社して以来、一貫してエクストリームプログラミング(eXtreme Programming、以降XP)に取り組んでいます。 この記事を書くに当たって、改めてMartin Fowlerの『リファクタリング(第2版)』を読んだところ、「リファクタリングとは何か」「どのように行うのか」といったことは、ほとんど全て本書に書かれていることに気付きました。 一方で、開発の現場でリファクタリングをどのように位置付け、実践し、機能させるかという観…

AIによる工数削減を計測して見えた結果と考察

はじめに こんにちは、データシステム部MA推薦ブロックの佐藤(@rayuron)です。私たちは、主にZOZOTOWNのメール配信のパーソナライズなど、マーケティングオートメーションに関するレコメンドシステムを開発・運用しています。 以前、テックブログで工数やAI活用による工数削減を計測する仕組みを、タスク管理ツールのGitHub Projectsで構築する方法をご紹介しました。前回の記事が計測の仕組みの作り方を扱ったのに対し、本記事では仕組みを1年間運用して得られた結果とその考察、そして今後の展…

aws-actions/configure-aws-credentials で AWS 認証情報の環境変数へのエクスポートを抑止する

はじめに 普段よく GitHub Actions で aws-actions/configure-aws-credentials を使っているけど「output-credentials」と「output-env-credentials」というオプションがあることは知らなかった💡 aws-actions/configure-aws-credentials はデフォルト設定だと認証情報を GitHub Actions ジョブ全体の環境変数としてエクスポートするため,認証情報が不要なステップでも AW…

3 の倍数と 3 がつく数のときだけ、浮動小数点誤差でアホになる世界のナベアツ

def f(i): A0 = [1.1819055680010597, 1.431565918540171, 1.0642546737906344] A1 = [1.7027727811689999, 1.5993649864648791, 1.025135482175168, 1.0916806072811036] A = A0 if i < 26 else A1 for x in A: i /= x i *= x return i def is_aho(i): return i % 3 ==…

Aurora Serverless v2 の Minimum ACU を安易に 0 にするのはやめよう

こんにちは、ギフティでエンジニアをやっている中屋(@nakaryo79)です! toB 向けのプロダクト開発チームでバックエンドエンジニアとして働いています。 つい最近、タイミーさんのこちらの記事がちょっとバズっていましたよね。 tech.timee.co.jp この記事が出た直後ぐらいに、ちょうど自分が担当しているプロダクトでも似たような事象に遭遇しました。 対象のプロダクトでは DB として Amazon Aurora Serverless v2 を使用しています。 この Aurora の …

多層防御 vs 最先端のサプライチェーン攻撃 ―― freee の大規模障害訓練の舞台裏

こんにちは、北海道から freee red team*1に参加している yu です。 読者の皆さんは、freee の全社障害訓練というものをご存知でしょうか。 私自身、4年前の転職の際は障害訓練の記事を見て freee に興味を持つきっかけになったり、入社直後の2022年の障害訓練では手も足も出ず歯痒い思いをしたりと、大変思い入れの深いイベントです。 developers.freee.co.jp 一方で、ここ数年で急速に拡大を続けるこの組織において全社障害訓練を行うハードルは高くなり、思うように…

手離れするインフラ設計を考える

今回はコラムのような感じ。ちょっとしたきっかけで思い浮かんだので書いてみる。 きっかけ: 6年前のスライドが今も正しかった Songmu氏(松木雅幸、Nature CTO)が2020年のInfra Study Meetupで発表した「Infrastructure as Code変遷」というスライドがある。 junkyard.song.mu この発表の結論は3つ。 "Everything"の量を減らす コントローラブルなレイヤーでコントロール 管理レイヤーを増やさない 6年経った2026年に読み返…

サンリオで活躍中のid:r_kurainを訪問 | はてな卒業生訪問企画 [#21]

こんにちは、CTOのid:motemenです。Hatena Developer Blogの連載企画「卒業生訪問インタビュー」では、創業からはてなの開発に関わってきた取締役の id:onishi、CTOの id:motemen、エンジニアリングマネージャーの id:onk、技術グループ長の id:daiksyが、いま会いたい元はてなスタッフを訪問してお話を伺っていきます。id:motemen が担当する第21回のゲストは、株式会社サンリオでデジタル事業開発部プロダクト開発課シニアマネージャーとして…

Windows OSでのプロセス名

デジタルペンテスト部の北原です。 本記事では、Windows OSで稼働しているプロセス名の情報がどのように取得できるのかについて、プログラムの実装例と共に解説します。 ユーザー空間に保存されているプロセス名情報 ユーザー空間のメモリでは、プロセスの情報が保存されているPEB(Process Environment Block)と呼ばれる情報から、プロセス名につながる情報が確認できます。 PEBは各プロセスのメモリ空間に存在しており、プロセスに読み込まれているPEファイル(実行ファイルやDLLな…

LATERALでSQL実行時間を99.75%削減した話

こんにちは! 承認チームでGoエンジニアとしてインターンをしているunagamです。 最近は夏の旅行先として色々な場所を調べるのにハマっています。 今回はあまり馴染みのないSQLのLATERAL句で大幅にAPIを高速化できたので、その学びを共有したいと思います。 概要 APIのボトルネックだったSQLを、LATERAL を使って 94.7ms → 0.236ms(99.75%削減) まで短縮できた。 ただし LATERAL は無条件に速くなるわけではない。外側の行数に比例してコストが増えるという…

AWSの強い権限は使い捨てに ── ZOZOがJITアクセスを全社導入した設計と運用

はじめに こんにちは、全社AWS管理部門の江島です。社内で利用されているAWS環境を全社横断的に管理する役割を担っています。 全社AWS管理部門では、AWSを安全に運用するために日頃からさまざまな取り組みを行っています。例えば、AWS本番環境へのアクセス管理においてIAM Identity Centerを活用し、定期的な棚卸しや申請ベースの権限管理といったセキュリティ対策を継続的に実施してきました。 こうした取り組みを土台としつつ、さらなるセキュリティ強化に向けて「必要なときだけ権限を付与する」…

【つぶやき】人が書いたskillとかcommandに愛着が湧かない

人が書いたClaudeCodeのskillとかcommandに愛着が湧かないという意見を聞いた これはチーム開発する上で、モチベーションの低下(誰かがやってくれる)に繋がりそうな新しい課題かも この辺りをChatGPTにぼんやり相談 愛着が湧かない理由 自分の意思決定の痕跡がない skill / command は設計思想やトレードオフの集合体 そこに自分の判断が入ってないと「ただの成果物」になる 編集する動機が弱い 「動いてるし触らなくていいか」になりがち 結果として ownership が生…

テックブログはじめました & 継続的な循環的複雑度と認知的複雑度の計測をしているという話題

こんにちは。タイムリープ株式会社でソフトウェアエンジニアをやっております id:moznion です。 タイムリープ株式会社は遠隔接客サービス RURA (https://timeleap-rura.com/) を提供しているテクノロジースタートアップです。 このサービスは主としてブラウザで動作するReactアプリで構築されており、通信のバックボーンにはWebRTCを利用しています。 バックエンドのサーバーサイドコンポーネントはGoで作られていて、GraphQLとgRPCのServer-Stre…

スクラムよ! 私は帰ってきたぞ! スクラムをやめたけど戻したチームの経験談

スクラムよ! 私は帰ってきたぞ! スクラムをやめたけど戻したチームの経験談 こんにちは。アニメ『日本三国』を見終わって、横山光輝さんの『三国志』を読んだときの興奮を思い出した daipresents です。天命をまっとうするぞー。 少し前に、Slackを眺めていると、エンジニアリングマネージャ友達のなかしょーさんが「スクラムをぶっ壊す」とフンフンされていたのをみつけて、そう思った理由を伺ってみるとなかなか面白かったので、今日はその話を書いてみたいと思います。 スクラムじゃないかもと思った理由 な…

「楽楽精算」AIエージェント実装で立ちはだかった3つの壁と突破の裏側

こんにちは!AIエージェント開発課です。 近年、生成AIの進化スピードは凄まじく、単なるテキストの要約やドラフト生成の枠を超え、自律的に判断してタスクを実行する「AIエージェント」が大きなトレンドとなっています。 このような技術的な潮流の中、私たちのチームは2025年5月に「AIエージェント開発課」として産声を上げました。累計導入社数 約20,000社以上の顧客基盤と、16年以上にわたって蓄積された膨大な業務データ(ドメイン知識)というラクスの強みを活かし、バックオフィス業務の「完全自動化」とい…

共通基盤の構築にサーバサイドTypeScriptを選んで嬉しかったこと

自分のブログに書いた前編「サーバサイドTypeScriptを選ぶ前に向き合ってほしいこと」では、サーバサイドTypeScriptを選ぶ上で、TypeScriptの言語特性や実行環境の得意・不得意と向き合うことの重要性について書きました。この記事では、その続きとして認証基盤・ID基盤という具体的な領域でサーバサイドTypeScriptを選んだことで実際に嬉しかったことを共有します。 ただし、ここに書くことは「だからサーバサイドTypeScriptを選ぶべきだ」という主張ではありません。私たちの領域…

セキュリティインシデント体験ツール「ZANSIN」の構築方法と使ってみた感想

はじめに はじめにNTT西日本の長谷川です。 本記事では、セキュリティ業界の有志で運営している「MINI Hardening」というコミュニティのメンバーにより開発された、サイバー攻撃を想定したインシデント・レスポンスを体験するためのトレーニングツール「ZANSIN」の体験談と自身で環境を構築する際の手順と注意点をまとめています。 ※Hardening とは情報セキュリティ分野においてセキュリティ強化演習を指す用語です。 出典:ZANSIN(GitHub)https://github.com/Z…

そうだ、時計作ろう

みなさん時間測ってますか? 僕はパスタ茹でる時とかに測ります。 また、時間の間隔だけでなく、正確な時刻を知ったり、正確な時刻に合わせて何かアクションをしたい時があります。 たとえば JST 2026年06月21日22時23分24秒きっかりに数十 ns の精度でパスタを茹で始めたい時などがあると思います。 そんな時に便利なのが GNSS(Global Navigation Satellite System)です。 GPS(Global Positioning System)とも呼ばれがちですが、G…

弊社のブログのネタが減った気がしています

テックブログの編集を担当している髙木です。 テックブログにおける編集という役割はあまり一般的ではないかもしれませんが、記事の質の担保と安定的な投稿を目的に活動していると思っていただくのが良いと思います。以前出した記事がありますので興味のある方はこちらを参照ください。 突然ではありますが、弊社のテックブログがネタ切れ状態です。というのは半分冗談なのですが、これまでよりも記事が出にくくなっている気がしております。そのことについて考えるというのが今回の記事の主題となります。 そもそもテックブログをなぜ…

第5回セキュリティ若手の会 協賛・登壇レポート 〜注目コミュニティへの参加と緊張の初登壇〜

初めまして! NTTドコモビジネス情報セキュリティ部の池山と申します。 未経験からセキュリティ分野に飛び込み、現在は脅威情報を中心に業務を担当しています。 2026年6月13日に開催された「第5回セキュリティ若手の会」にて、ドコモグループ(NTTドコモ・NTTドコモビジネス)はゴールドスポンサーとして協賛し、講演の機会をいただきました。 この記事では、初の外部登壇かつ初参加となった「セキュリティ若手の会」について、ギリギリ若手(社会人3年目)の視点から当日の様子をご紹介します。 セキュリティ若手…

Strands Agents の50個の標準ツールを一挙紹介 〜AIエージェントをより便利にするツール群〜

こんにちは、前田です。 最近、社内で「城巡り同好会」を立ち上げ、小田原城に行ってきました。 天守閣からは相模湾と箱根の山々が連なる絶景を見られて、とても良かったです。 さて、今回はAIエージェント開発には欠かせないライブラリ 「Strands Agents」 の標準ツールを紹介します。 1. Strands Agentsとは 1.1. まずは動かしてみる 2. 標準ツール紹介 2.1. ファイル操作 2.2. 自動化 2.3. 情報収集 2.4. マルチメディア 2.5. エージェント 2.6.…

管理者に「なる」ボタンを作った

管理画面を作るのが面倒な Web アプリケーションで、自分のユーザに admin フラグを立てておいて無双している。アプリケーションの画面上からスパム投稿を非表示にしたり、ユーザを BAN したり。手が滑って普通の投稿を削除すると怖いので confirm を挟んだりもしている。 任意の時間にできる機能なんかも定番ですね。月初に出るバナーが本当に出るのか、割引が本当に開始するのかを、来月の時間ということにしてアクセスして確認したい。 こういうのを、自分一人ならいいが、チームで作っていると、管理者に…

AIエージェント時代のターミナルマルチプレクサ「Herdr」を使う

最近はgit worktreeを使ってコーディングエージェントを並列稼働させることが増えてきました。といっても2、3並列程度なのですが、それでもどこにどのエージェントを起動しているか、そしてそれらのエージェントが今どのような状態にあるかを瞬時に知りたくなってきます。tmuxを現状愛用していますが、tmuxでコーディングエージェントネイティブな環境に対応しようとするとかなりのカスタマイズを必要としそうでした。 Herdrはこの問題を結構いい感じに解決してくれるツールです。とてもよかったので紹介した…

サプライチェーン攻撃に怯えたくないので、パッケージを「寝かせる」プロキシを自作した

こんにちは、セキュリティチームの坂梨です。 皆さん、ソフトウェアサプライチェーン攻撃対策はできていますか。 2025年の Shai-Hulud(大規模なnpmパッケージ侵害事件)以降、ソフトウェアサプライチェーン攻撃が話題に挙がる機会が増えました。特に今年3月末に発生した Trivy と axios の事件は大きく騒がれ、影響調査に追われた方も多いのではないでしょうか。 4月以降も lightning や TanStack などメジャーなライブラリが被害に遭っており、毎朝「さて今日は何が乗っ取ら…

システムリプレイスを始める前に余計な機能を消す

システムのリプレイスをするなら、新システムへ機能を移植し始める前に「いらない機能」を現行システムから消すことを勧めたい。 この記事のまとめ リプレイス時は、機能の棚卸しをして不要なものを現行システムから先に消そう 先に消せば移植する機能が減って保守コストと総工数が下がる 棚卸しによって「どの機能」が「なぜ」必要なのかが明確になり、その後の判断に効く なぜ先に「消す」べきか 私は10年ほどのソフトウェアエンジニア経験から、大小様々なシステムのリプレイスプロジェクトを経験している。テックカンファレン…

GitHub Actions 認証情報ごとのリスクから読み解く、権限昇格パターンとその対策

はじめに こんにちは。GMO Flatt Security株式会社 セキュリティエンジニアの佐藤(@Nick_nick310)です。 本シリーズの前回記事では、GitHub Actionsに対する初期アクセスの手法と対策を解説しました。まだお読みでない方は、先に前回の記事をご覧いただくことをお勧めします。 GitHub Actionsのセキュリティを考える際、Script Injectionや信頼できないPull Requestのcheckoutといった初期アクセスに関わる問題が注目されることは…

ぜんぜんわからない、俺たちは雰囲気でAI適用をやっている

AIをギョームに適用しようとすると、必ず「このギョームはAIに向いてるのか?」という問いが出てきます。わかる、わかるよ。ずっとその問いをやってる。 それで、向いてる向いてないを考えて、なんかやった気になって、結局どうすればいいのさという問いには答えられていなかった。 このあたりの判断基準が、自分の中でかなり曖昧だったんだよね。例えば、システム開発の上流工程へのAI適用は、AIが業務文脈を理解していないから難しいよね、学習コーパスが浅いしね。で、話がこれで終わる。それはそうなんだけど、そこで止まっ…

Claude Enterprise全社導入で何を検討し、何をやらなかったか

こんにちは。セキュリティエンジニア兼SREの侘美です。 2026年6月、メドピアではClaude Enterpriseの全社導入を完了しました。正社員・契約社員あわせて約130名にアカウントを配布しています。 今回の導入は、自分(セキュリティ)とコーポレートIT(社内のIT機器・SaaS管理を担当)で協力して設計・構築しました。セキュリティ方針やリスク評価は自分が担当し、SSO・SCIM設計やクライアント管理、コネクタ運用といった実装面の細かい検討・構築はコーポレートITのメンバーが中心になって…

本質的な複雑性と偶有的な複雑性の違いは実は自明ではない

本質的な複雑性と偶有的な複雑性の区別は、有名な『銀の弾丸はない』で提唱されたものだ。 本質的な複雑性というのは、「どうあがいても、その問題に内包されている複雑性」のことで、たとえば医療で言ったら「麻薬施用免許を持たない医師やスタッフが麻薬処方の指示を出してはいけない」というのはあたりまえの話だけど「じゃあその処方箋はどう現場で管理されないといけないんですか」とか「鍵付きのところに保存されてないとダメで、そこから取り出すためには麻薬施用免許を持った医師が出して、麻薬施用免許を持った医師がハンコを押…

手動診断でしか見つからない脆弱性の話

※この記事は「エムティーアイ Blog Summer 2026」の 6/26 の記事です。 こんにちは、テクノロジー本部 Red Teamの石廣です。 今回は、Red Teamの強みでもある手動診断について、自動スキャンとの違いを交えながらお話しします。 目次 はじめに 自動スキャンが得意なこと 自動・手動・コードレビューの役割分担 自動スキャンが見落とすもの 1. ビジネスロジックの脆弱性 2. 複雑な IDOR(水平権限昇格) 3. 競合状態 4. 多段階の攻撃チェーン 5. 認証フローのバ…

Authorization Design as a User Story:権限設計を通して学ぶ、業務フローとユーザーストーリーのポイント

1. はじめに こんにちは、権限管理基盤チームで PdM をしている sentokun と申します。 私は基盤チームの立場でよくプロダクトチームから権限設計に関する相談を受けるのですが、実際にやっている内容に立ち返ると、それは業務フローとユーザーストーリーの整理に通じると感じています。 この記事では、権限設計という複雑そうなタスクの「よくあるパターン」を通して、業務フローとユーザーストーリーの重要性について共有します。 TL;DR 権限設計を考える際には、以下の2ステップが必要です。 業務フロー…

AIにPull RequestのApprove権限を与えて数ヶ月、どのような効果があったか

株式会社ヘンリーでソフトウェアエンジニアをしているwarabi(@warabi1062)です。 ヘンリーでは今年の1月から、一部のPull RequestでAIがレビューをする際にApproveを出す権限も与えています。 今回はAIにApproveを出させるようにした経緯や、約半年間の運用をしてみてどのような効果があったかをまとめます。 AI活用による実装速度の向上 今年の1月頃から、ヘンリーではClaudeCodeをより効果的に活用して実装の全自動化に力を入れてきました。その成果の一部として、…

AI がコードを書く今だからこそ、「ものをつくる前に人をつくる」を考える

Tebiki で CTO をしています渋谷(@shibukk)です。 先日、Don’t Hire Juniors to Write Code, Hire Them to Become Seniors という記事を読みました。AI がコードを書くようになった世界で、若手エンジニアを採用し、育てることをどう考えるのか。読んでいて、自分たちがいま向き合っている問いとも重なるところが多かったので、私たちのポジションをちゃんと書いてみたいと思いました。 私たちの考えは、シンプルです。 AI によってコード…

Claude CodeのスキルでSLO対応を自動化したらめちゃくちゃ楽になった

こんにちは。ソーシャル経済メディア「NewsPicks」のPlatform Engineeringチームの崔(ちぇ)です。 昨今、エンジニアのやるほとんどの仕事は「それはClaudeに」というものばかりになった気がします。調査に限らず実装やPR作成、なんならChrome拡張を使えば動作確認までさっとできちゃいます。GithubのCopilotレビューなんかも、かなりいいことに気づいてくれるので日々頼りにしています。 障害調査はどうでしょう? AWS CloudWatch や New Relic …

OpenCodeを愛用し始めている

CodexやClaude Codeなどはもちろん仕事で使っていますが、プライベートでコーディングする時間はなかなか限られていて、あれだけの枠があっても毎月使い切れるとは限らない日々が続いていました。プライベートでも使っていたもののかなり課金がもったいない気がしていたので、最近は課金を止めていました。でもやっぱり、いざプライベートでもコーディングしたくなったときにコーディングエージェントがない生活には戻れませんね。 他の選択肢として、OpenCodeは安いけれど品質は十分そうだと思ったので紹介がて…

git を捨てずに、git の手前に立つ - Jujutsu (jj) の概念と、乗り換えの損益分岐点

はじめに 金曜の夜だった。10個のコミットを git rebase -i で並べ替えていた。4個目で衝突した。慌てて解決したが、解決を間違えた。git rebase --abort で巻き戻し、最初からやり直す。2回目はもっと雑になり、3回目で reflog を漁ってコミットを拾い直した。本番でもチームのリポジトリでもない。自分のローカルブランチを、自分一人で壊していた。 この冷や汗には覚えがある。git を10年触っていても消えない。いつ上達するんだ。毎回調べている気がするし雰囲気で触っている…

Codex を使って障害対応の机上演習をやってみよう

PMO 兼 SET 兼 QMO の Kuniwak です。今回は障害対応机上演習をコーディングエージェントと一緒に実施し、成果を挙げた話をします。 背景 障害対応の能力を計測して継続的に改善するには障害対応の机上演習が有効です。 再現度の高い机上演習を実施するには、ゲームマスターの役割を担う人間が必要になります。 ゲームマスターとはインシデント対応者からの質問と対応手順の提示を通して、段階的に情報を開示していく存在です。 実際の障害対応では真因がわからない状態からスタートし、観測可能な情報を収集…

人工知能学会 2026 参加レポート

thumbnail e-learningプロダクト開発部 データ活用システム開発セクションでなんとか働いている堀です。 2026年6月8日から12日にかけて、群馬県高崎市で開催された「第40回 人工知能学会 全国大会(JSAI 2026)」に参加しました。ドワンゴ教育事業はゴールドスポンサーとしての参加です。 本記事では、参加・聴講・発表で得られた気づき・感想をレポートします。 JSAIとは 「2026 挑戦 JSAI2026」と書かれた看板 JSAIは、名前の通り日本の人工知能の関係者が一堂に…

『エンタープライズAWSアカウント設計』を執筆しました。AWS Summit で先着500名様に無料配付します

佐々木です。 企業でAWSを使い始めて数年経つと、こんな悩みが出てきます。 請求が何通にも分かれ、誰がどのアカウントの責任者なのか分からない。事業部ごとにアカウントが増え続け、使われていないIAMユーザーも残ったまま。IAM Identity Center を導入してシングルサインオン(SSO)化したいと思いながらも、どこから手を付ければよいのか判断できない。 こうした問題の多くは、AWSアカウント設計を後回しにしたまま運用が積み上がった結果として起こります。そして厄介なのは、AWSアカウント設…

「1杯1500円のノンアル」もつくれる? バー好きエンジニアが開発した卓上サイズの「蒸留器」がすごかった

素材から取り出した香りをメニュー開発に生かせる「巴波(うずま)式減圧蒸留器」。開発者である巴波重工業株式会社の代表取締役・安永昌平さんに、開発へのこだわりや幅広い飲食業態での活用事例などを聞きました。 料理やドリンクにおける「香り」は、お店ごとの個性を演出できるポイントの一つです。その香りの抽出方法として、特に酒造の領域でよく使われるのが「蒸留*1」です。しかし、従来の蒸留器は、一部専門性の高い飲食店や酒造業者の間で活用されるに留まっていました。設置スペースや扱いやすさ、使いどころに課題があった…

相次ぐGitHub Actions 侵害から学ぶ、初期アクセス手法と開発者が知っておきたい対策

はじめに:なぜ今、GitHub Actionsのセキュリティなのか GitHub Actionsが侵害されると何が起きるか GitHub Actionsに対する攻撃の事例分析 脆弱なトリガー構成を悪用したインジェクション Ultralytics(2024年12月) nx(2025年8月) タグ汚染によるサプライチェーン tj-actions/changed-files(2025年3月) trivy(2026年2月) AIエージェントへの過剰な権限付与 初期アクセスの手法紹介 信頼できないPull…

ループエンジニアリングは、サイバネティクスの再発見だ

はじめに またバズワードが来たな。 2026年6月、「ループエンジニアリング」という言葉でタイムラインが埋まった。 プロンプト、コンテキスト、ハーネス。半年ごとに、新しい看板が立つ。 号令はこうだ。Peter Steinbergerが「コーディングエージェントにプロンプトを書くのはもうやめろ。エージェントにプロンプトを書くループを設計しろ」と書いた。Claude Codeを率いるBoris Chernyも、「私はもうClaudeにプロンプトを書かない。ループが走っていて、それがClaudeにプロ…

AIがコードを書ける時代だからこそ、Jrエンジニアに「AIを疑う力」を育てた話

TL;DR はじめに 当初は追体験式でいくつもりだった Jrエンジニアとマインドマップで必要なスキルを可視化した 主役に据えた「AIを疑う力」をどう定義したか 教材 × 1on1 × 実務課題の3本柱で能力を伸ばす 教材: 書籍2冊 → Python演習リポジトリの順で土台を作る 1on1: 進捗確認ではなく、設計レビューと内省の場に 実務課題: AI前提で作り切る体験を通じて鍛える うまくいったこと 難しかったこと まとめ TL;DR AI時代のJrエンジニア育成では、AIを使う力だけでなく、…

apple/container で worktree 並行開発を快適にするツールを作ってみた

先月マルタ共和国へ旅行に行った時の風景です。本記事とは無関係です。 【デジスマ ブログリレー 2日目】 デジスマチームの田口です。 最近 apple/container という Apple 純正の Linux コンテナサポートツールが v1 として正式リリースされました。軽量 VM ベースということで興味があり、これを使って何か面白いものを作れないかと色々触っていました。 ちょうど普段 Claude Code を claude --worktree で複数ブランチ並行で動かしていて、ブランチごと…