トピック一覧

技術

専門エンジニアを廃止した ─ Voicy開発統括が半年で実行した3つの構造改革

Voicy開発統括のやまげん(@yamagenii)です。 以前書いた「AI時代のキャリア戦略」でも触れたように、AI時代における開発体制のあり方を模索してきましたが、この半年で私はVoicyのエンジニア組織を本格的に作り替えました。音声のtoCプラットフォーム開発の現場で起きたリアルな構造改革の記録です。 結論から3行で書きます。 iOS・Android・Web・バックエンドという職種を廃止した 開発のアウトプットは半年で10倍になり、品質は落ちなかった この「アウトプットの最適化」を経て、次…

cpprefjp最初の完成のお知らせ - C++29の現在の仕様案まで追いつきました

2011年から始めたC++日本語リファレンスサイトcpprefjpの取り組みですが、C++29の最新ワーキングドラフトの状態まで、ほぼ完全に追従しました。 15年かけてようやく最新に追いつきました。 全体では7,405ページになりました。 本一冊を300ページとすると25冊分の文量になります。1ページあたりの情報量も多いので、実際にはその数倍になるでしょう。 この15年、多くの方に助けていただいて、なんとかここまで来れました。まずは大きな感謝をさせてください。ありがとうございます。 cppref…

AIエージェントによるドイツ語ウィキ「DseWiki」ののっとりについてまとめてみた

2026年9月4日、研究者グループが、OpenAI所属を示す名前を名乗るAIエージェント群がドイツ語ウィキ「DseWiki」など公開ウィキサイトへ大量の投稿を行い、サイトを即席の伝言板として悪用していたとする報告書を公表しました。OpenAIは翌9月5日、これを自社エージェントによる「ウィキ事案」と認める声明を発表し、その後、欧州委員会へインシデント報告を提出していたことも明らかになっています。ここでは関連する情報をまとめます。 GETリクエストのみで成立した書き込み 独立研究者グループNigh…

AIエージェント向けコーディングルールをArchUnitで機械的に検証する運用

はじめに こんにちは。商品基盤部の藤本です。 私たちのチームでは、生成AIコーディングエージェント(以下、AIエージェント。主にClaude Code)を使って開発に取り組んでいます。以前からAIエージェントに一貫した実装をしてもらうため、ルールを書いて指示する運用を続けてきました。しかし、ルール同士の矛盾やレビューだけでは遵守を保証できないといった課題がありました。本記事ではこの課題と、ArchUnitによる機械的な検証へ落とし込むまでの取り組みを紹介します。

コードリーディング上手くなりたい

id:Windymelt はサービス開発でAI Agentを利用していて、チーム全体でも活用されている。しかしながらコードの生成は任せることができても、コードに対する責任が変わることはなくて、我々人間が責任を負い続ける。すると、大量のコードが生成される一方で、それをちゃんとレビューしないといけなくなってしまった。 はてなパークスでは毎日2回くらいリリースしていて、Release用のPRをマージするだけでリリースフローが走るのでデプロイ自体は簡単だけれど、500〜2000行の変更がその都度行われて…

「なぜ動くのか」を説明できるエンジニアへ。自作で学ぶWebアプリケーション研修教材を公開

Speeeの大場です。 AIの助けを借りて、アプリケーションが動いた。そのとき、ブラウザから送られたリクエストがどう処理され、画面に結果が返ってくるのかを、自分の言葉で説明できるでしょうか。 これからエンジニアを目指す方にとって、「AIを使って開発しながら、何を、どこまで自分で理解すればよいのか」は悩ましい問いです。新卒エンジニアの教育を担う方も、成果物を作る経験を、技術への理解にどうつなげるかを考える場面があるのではないでしょうか。 Speeeでは、この問いに向き合う取り組みとして、Webアプ…

キャッチアップ3時間、8日でリリース。AI時代のインターン受け入れで見えたメンターの役割

こんにちは、ファインディでFindy Team+の開発をしているrobinです。 先日ファインディで初の試みとなるエンジニアインターンが実施され、2週間メンターを務めました。前職でもインターンのメンターを何度か経験してきましたが、AI時代にインターンを受け入れるのは今回が初めてでした。 AIもあるし、前職と同じようにやればいい。始まる前はそう踏んでいました。ところが、変わったのはインターン生の進み方だけではありませんでした。 自走はAIがサポートする メンターの役割が変わる AIが働きやすい環境…

AI時代のエンジニア選考・面接のパターン

カミナシで、ソフトウェアエンジニアをしている osuzu です。 面接官として中途採用の選考にも関わっていますが、ここ1年くらいでエンジニア選考の設計を見直す必要が強まってきたと感じています。 私のチーム採用では、これまでオンラインコーディングテストや持ち帰り課題を選考に利用してきましたが、AIの登場によって、候補者さまはAIを使って課題を作成するようになり、Opus 4.5 がリリースされたあたりから成果物の精度がぐんと上がりました。 その結果、提出された課題から期待する経験値と、面接でお会い…

AI Coding時代のOSSライブラリのメンテ

結論: 今までよりさらに、コンパクトに低レベル、最小限のコア機能だけを提供しよう 今年になって明らかにPull Requestもセキュリティ報告も増えました。しかもセキュリティ報告は、だれがこんな使い方するんだよというようなケースが多く、サポート外として蹴るか一応CVE登録するか毎回悩みます。今までと同じやり方では簡単にパンクしてしまうでしょう。 Pull Requestを作る側は完全にAI任せにしてくることもありますが、メンテナとしてはきちんとPRを理解して、将来まで責任を持つ覚悟がないとマー…

新メンバーが早く馴染むチームビルディング「トリセツ会」

こんにちは!パンダ好きエンジニア @pandineer です。 テックタッチという会社で、社名と同じプロダクト「テックタッチ」の開発を担う、Adoption Platform Division の Engineering部でエンジニアリングマネージャーを務めています。 新しい環境に飛び込む時、「どんな人達がいるんだろう?」「うまく馴染めるかな…?」と不安になること、ありませんか? 迎え入れる側も、「どんな人が来るのだろう」「早く馴染んでもらえるかな?」と心配になることがあると思います。 今回は、…

スキルを43個作っても越えられない、仕様駆動開発の4つの壁

こんにちは、ラクス技術広報です。 開発本部では、各部署でのAI活用の取り組みを技術広報がインタビューし、記事としてお届けしています。今回お話を伺ったのは、楽楽請求開発部でバックエンド開発を担当する吉元和仁さんです。 楽楽請求のバックエンドチームは、昨年度の下期から仕様駆動開発(Spec-Driven Development、以下SDD)の導入を進めてきました。掲げた目標は「AIによる実装の完全自動化」です。 半年ほど回してみて、実装そのものは速くなりましたが、速くなったのは個人の作業で、チームと…

バックエンド開発Handbookを届けるために ― AI時代の知の高速道路を敷く

こんにちは、タイミーでバックエンドのテックリードをしている新谷(@euglena1215)です。 今回は、社内向けに公開したバックエンド開発Handbookと、それをClaude CodeやCursorといったAIエージェント向けスキルとして届けることで、気づいたらHandbookを参照している状態を目指した取り組みについて紹介します。 バックエンド開発Handbookとは何か バックエンド開発Handbookは、タイミーのバックエンド開発における設計・実装・運用のガイドラインをまとめたドキュメ…

Claude Code の Rules はもう死んでいる

あちらを立てればこちらが立たず。どうもかわしんです。注意喚起です。 2026-08-18 以降、皆さんの Claude Code の Rules は動いていません。残念でした。解決策は環境変数 CLAUDE_CODE_THRIFTY_SONIC を無効にするように .claude/settings.json を設定してください。 ちなみに死んでいるのは Rules だけではないです。Read ツールによって発火する Hooks や、サブディレクトリの CLAUDE.md も読み込まれずに死んでい…

【週刊】はてなパークス アップデート&注目スレッド(8/31〜9/4)

はてなパークス開発チームです! 気づけばもう9月。はてなパークスが正式にリリースしてから、あっという間に2週間が経ちました。日々たくさんのスレッドやコメントをいただき、開発チーム一同とても嬉しく思っています。それでは早速、今週の盛り上がったスレッドや、この1週間のアップデート情報をまとめてお知らせします。 今週のスレッド紹介 今週盛り上がったスレッドから3つご紹介します。 日本神話のことをどうやって知りましたか? / 文化史(エンタメと芸術)パーク 漫画・アニメ・ゲーム・書籍……日本神話に詳しく…

10時間足らずで侵入されたAIエージェントによるランサムウェア攻撃についてまとめてみた

Palo Alto Networks Unit 42は2026年9月2日、ランサムウェア攻撃に対応したインシデントレスポンス事例を公表しました。攻撃者がフロンティアAIを用いてネットワークへの侵入からAI基盤の乗っ取りまでを自律的に進めさせていたとする内容で、被害組織のセキュリティ体制に関する80ページの技術監査レポートを残していったともしています。ここでは関連する情報をまとめます。 AI支援ランサムウェア侵入事例の公表 Unit42は、公開したレポート「An AI-Assisted Cyber…

月間はてなブックマーク数ランキング(2026年8月)

はてなブックマークのブックマーク数が多い順に記事を紹介する「はてなブックマーク数ランキング」。2026年8月のトップ50です*1。 順位 タイトル 1位 (追記あり)年間100回以上映画館に通う俺が選ぶ「これ観てない奴とは正直、映画の話をしたくない」20選 2位 チャンスは、変な顔をしてやってくる|松浦勝人 3位 「現役世代の夫が突然亡くなったら」葬儀から相続まで妻がやること【180のリスト付】 4位 「家以外で絶対やらない方がいい」お腹まわりを爆速で引き締める筋トレで恐ろしいほど便通がよくなっ…

限られたセキュリティリソースで成果を最大化する「選択と集中」 — 出前館の脆弱性対応とAI活用

はじめに こんにちは。株式会社出前館でセキュリティエンジニアをしている白取です。 2026年8月18日に開催されたFindy株式会社主催の「事例から学ぶ! 少数精鋭チームのセキュリティ防衛術 ~組織フェーズでみる取捨選択~」にて、「現実的なセキュリティ体制の構築 — 限られたリソースで成果を最大化する『選択と集中』」というテーマで登壇しました。 本登壇では、少人数のセキュリティ体制において限られたリソースをどこに集中させるかを軸に、脅威インテリジェンスの設計・運用、リスクベースの脆弱性管理、CT…

対話型をやめて1度の指示でPRができる。人間の開発フローに沿って5つの役割をリレーするAIエージェントパイプラインの設計

はじめまして。食べログカンパニー開発本部 飲食店プロダクト開発部 食べログノートチームの中内です。 本記事では、対話型をやめて1度実装タスクを指示することでPRまで作成するAIエージェントパイプラインを自作し、チームで運用した記録を紹介します。このAIエージェントパイプラインは、人間の開発フローに沿って動きます。PR1本分のトークン数と金額、所要時間の実測を示しながら、対話型よりも並行して作業を進めやすくなった手応えをまとめます。あわせて、約2週間チームで運用した実績も書きます。 目次 なぜ「実…

AIに必要な「ルールのルール」

AIが文章やコードを速く作るようになればなるほど、人間によるレビューや決裁、品質保証といった、人間の意思決定がボトルネックになっていきます。その状況が続けば、企業はAIに人間への提案をさせるだけでなく、一定の条件の下で、判断と実行まで任せようとするでしょう。 たとえば購買先を選んで発注したり、顧客への返金を認めたり、本番環境の異常を修復したりと、影響の小さいところから徐々に、AIに意思決定そのものを委託する段階へと進んでいくはずです。少なくともそうした方向に強いインセンティブが働くのではないか、…

Grillingで詰まったら、推測せず分岐する

こんにちは。AlgomaticでソフトウェアエンジニアをしているGo(@53able)です。 mattpocock/skillsは、開発作業の進め方をエージェントに教えるスキル集です。 github.com /grillingは、その中で曖昧な依頼から未決定事項と判断の依存関係を洗い出す役割を担います。未決定事項を掘り下げると、その場では答えられない質問も出てきます。用語や前提を理解していない、担当者の判断が必要になる、実際に試さなければ分からない、といった質問です。 そこで適当に答えると、推測…

Google Cloudのセキュリティ強化を爆速で! - Google Cloud minimum viable secure platformのススメ

はじめに みなさん、こんにちは! ニーリーでSREをしています、宇田川(X: @Ryoheiengineer)です! 今回は、Google Cloud minimum viable secure platform(GCMVSP)を使って、Google Cloudのセキュリティ強化を約1ヶ月で実施した取り組みについてご紹介します。 「Google Cloudを使い始めたけれど、セキュリティ対策は何から手をつければいいの?」「Google CloudのBigQueryなど一部は使ってるけど、本格的に…

Auroraバックアップを「取れているはず」で終わらせない監視の仕組み

こんにちは。タイミーでプラットフォームエンジニアをしている菅原です。普段はAWSを中心に、インフラの設計と運用に取り組んでいます。 今回は、ランサムウェア対策として構築したバックアップと、そのバックアップが正しく機能していることを継続的に監視する仕組みを紹介します。 ランサムウェア攻撃は、データを暗号化したり盗んだりするだけでは終わりません。復旧そのものを妨害するために、既存のバックアップまで削除や改ざんの対象にするケースが増えています。この脅威に備え、私たちはAmazon Auroraクラスタ…

既に起きているパランティアのAI起因の殺人:Project Mavenについて

米国とイスラエルの空爆でのAIの誤データ参照と人間の確認不足で、イランの小学校の生徒120人含む150人が死亡。パランティアのAI「Maven」が学校がまだない10年以上前のデータに基づいて標的を選定。人間の最終判断でも気づけず。AI起因の殺人は実はすでに起きているhttps://t.co/ioAClBtPVJ— 梶谷健人 (@kajikent) August 28, 2026 この投稿をみて、少し前に NHK の報道で Project Maven について取り上げてたよな……と記憶を辿って調べ…

品質を支える仕組みをチームで作る —— 開発プロセスの可視化と改善

こんにちは!SmartHRでQAエンジニア(QAE)をしているyugeです。前回の記事で触れたDuolingoの連続記録が、ついに1,500日を超えました。日々の小さな積み重ねによって、以前は聞き取りづらかった音が聞こえるようになるなど、着実な変化を実感しています。 今回は、日々の開発プロセスで品質を守れる状態を目指し、チームで進めてきた改善の取り組みを紹介します。 体制変更で見えてきた、従来プロセスの課題 個々の判断に支えられていたプロセス 私は現在、プロダクト基盤ユニット内で権限基盤チームの…

J:COMを使っているとPlumeルーターによってDNSブロッキングされる可能性がある 18.204.152.241 問題の顛末

あるWebサイトにアクセスするとSSLエラーになった DNSの応答がおかしい J:COMの応答 J:COM問い合わせ J:COMの権威ある回答 まとめ J:COM問い合わせ対応について J:COMに改善してほしいこと おわりに 関連情報 あるWebサイトにアクセスするとSSLエラーになった こんにちは。趣味でDNSを研究したりしている @debiru_R です。 あるSNS上で誰かが投稿していたURLに何気なくアクセスしてみたら、ちょっとおかしな挙動になりました。 私がこの問題を確認した実例とし…

ハーネスエンジニアリングとは何か——"盛れば効く"のかを確かめる

はじめまして。 金融IT本部 プロダクトソリューションユニット 融資ソリューション2部の 渡邉 真太郎 です。 現在は 2 年目社員として、地域金融機関向けの CRM / SFA サービス開発に従事しています。 2025 年 11 月、Anthropic がエンジニアリングブログの記事(Effective harnesses for long-running agents)のタイトルに「ハーネス(harness)」という言葉を掲げました。長時間動き続ける AI エージェントを、いかに破綻させずに…

電柱のない中国の大都市。台風災害を防ぐため、地中化100%をほぼ達成

中国の大都市には電柱がない。南方の都市では台風災害が多いため、対策として電柱の地中化を進めてきたからだ。大都市ではほぼ100%完了し、地方都市でも地中化が進んでいると歴史有些冷が報じた。 電柱の地中化を完了している中国の大都市 北京、上海という中国の大都市を訪ねたことがある人は、あることに気がつかれたかもしれない。それは電柱がないということだ。中国の1線都市では電線の地中化をほぼ完了している。 電線の地中化はコストがかかる。地下トンネルを掘るのにも膨大な費用がかかり、さらに電線自体も設置するのに…

LLMのカスのコンサル問題

LLM は魅力的に見える提案をしてくれますが、実際に提案に従ってみると全然大したことがない結果になり肩透かしを食うことがよくあります。 本稿ではスタンフォード大学のグループによる一連の研究 Can LLMs Generate Novel Research Ideas? A Large-Scale Human Study with 100+ NLP Researchers(LLMは斬新な研究アイデアを生み出せるか? 100名以上のNLP研究者を対象とした大規模な人間を対象とした研究)と The I…

コーディングエージェントにペアプログラミングモードを用意する – スローダウンしたくなったときのために

コーディングエージェントがほとんどコードを生成してくれる時代になりましたし、私自身も実は半年以上仕事ではコードをほぼ書いていませんが、たまに自分でコードを書きたくなることがあります。コーディングエージェントの成果物を「読んで」なんとなく理解はできたものの、自分の手で「書いていた」頃と比べてどうも理解が浅いような気がする…そんな悩みを抱える方はいませんか?私だけでしょうか。 あるいは、OSSにコントリビュートする際は、コーディングエージェントの使用を禁止しているケースがあります。いい例が先日ポリシ…

Claude CodeやCodexの完了通知に直前の返信を表示し、クリックで元の画面へ戻れるようにした

最近はClaude CodeやCodexを複数セッション並行で動かしている。すると完了通知が来ても、どのセッションが何を終えたのか通知からさっと把握できないし、通知をクリックしても該当の画面に戻れない。デフォルトの通知機能ではこのあたりをカスタマイズできないので、hooksから呼ぶ通知スクリプトを自作していい感じにした。 具体的には、通知の本文にエージェントの直前の返信を表示し、通知をクリックすると起動元のターミナルやアプリを開くようにした。さらに複数エージェントをpaneに並べて動かせるher…

配列添字演算子の小さな改善案 for C2y

プログラミング言語Cにおける配列添字演算子(array subscript operator)[]の伝統的かつ奇妙な言語仕様に関して、次期C2yをターゲットとした仕様修正が提案されている。小ネタ以外の使い道もなく修正されて良い頃合いかもね?*12026-08-29追記:2025年8月会合にてN3352後継の提案文書N3517が採択され*2、C2y言語仕様では添字演算子のindex[array]用法は廃止予定の機能(obsolescent feature)となる。"The use of the a…

OKFやDiátaxisを活用してDevinによるお問い合わせ対応をしている話

【Unit7ブログリレー4日目】(Unit7のメンバーが持ち回りで記事を書く企画です) エンジニアリンググループ Unit7(リサーチプロダクトチーム)の長谷川です。 AIコーディングが当たり前になって久しいですが、じゃあ実際どう使うのがいいのか、運用のやり方はまだ手探りです。今回はその手探りの1つ、「ビジネスサイドからの問い合わせをAIに答えてもらう」取り組みを紹介します。 さて、社内のあるWebサービスには、エンジニアだけでなく、運用を担うビジネスサイドの担当者も関わっています。 担当者から…

何でもかんでも環境変数にしない

システムにおいて「環境変数」として扱うべきものは実は限られている。環境差がないものは環境変数として扱うべきではない。 そもそも環境変数とは何か 環境変数はOSがプロセスに渡す名前付きの文字列である。アプリケーションは起動後に $_ENV や process.env などから必要な値を読み込み、その後の処理に利用する。言語やフレームワークに依存しない、実行時入力の仕組みだ。 環境変数についての最も権威的な出典は The Twelve-Factor App の Config という記事だろう。 12…

登壇資料を作る技術

このエントリは続編です。前作は、 blog.inorinrinrin.com をご覧ください。前作では登壇資料の作り方そのものについては別の機会にブログに書くということで終わっていました。 そこから数週間経った頃、nikkieさんのエントリにて、 ※Kanonさんの集合知の登壇資料ブログがいいなと思ったので、(真似できる範囲で)パクります! とあったり、前作もたくさんの方に見ていただいたりと一定数需要があるのかなということで重い腰を上げて、登壇資料作りに関するエントリを書くことにしました。 0.…

SwiftUI標準APIだけで実装するレーダーチャート

N高等学校・S高等学校・R高等学校(以下、N高グループ)の生徒の学力を可視化する指標として、ZAスコア(ZEN Assessment Score) があります。ZAスコアは、ドワンゴがN高グループ向けに独自に開発した、学力を測る「絶対的」な指標です(参考: ZEN Studyヘルプ、参考: 開発ブログ)。生徒がZAスコアをより身近に感じ、学習へのモチベーションを高められるよう、ZEN Study上にその可視化としてレーダーチャートを表示することになりました。 本記事では、iOSアプリにおいて、複…

YAPC::Japanの今後に関するお知らせ

一般社団法人Japan Perl Association理事の福本(id:papix)です。 2026年11月に開催するYAPC::Tokyo 2026に際して、会員企業・賛助会員として日頃から一般社団法人Japan Perl Association(以下「JPA」)を支えてくださっている企業の皆様、スポンサーとして支援を申し出てくださった企業の皆様、トークの応募・準備をしてくださっている皆様、チケットを購入してくださった皆様、そしてスタッフとして日々準備を進めてくださっている皆様をはじめ、多く…

僕なりのForward Deployed Engineering

この記事は、Unit7(リサーチプロダクトを扱う部署)ブログリレー2日目の記事です Unit7 リサーチプロダクトチームの佐藤(@riku929hr)です。 この1年で社内のAIの利用は一気に広がりました。 特にClaude Codeに関しては、いまではエンジニアだけでなく、ビジネスサイドのメンバーも使える環境が整い日常的に使われています。 僕は現在、プロダクトの開発と運用を本業としながら、リサーチ業務を担うビジネスサイドのチームとともに、AIを業務に実装する取り組みをしています。 この記事では…

herdrでペイン分割を常に等分にするpluginを作った

以前、tmuxでペイン分割を常に等分にする設定を紹介した。 最近はherdrを使っているのだが、herdrも分割を繰り返すと1/2、1/4、1/4のように不均等になってしまう。またtmuxのselect-layout -E相当の機能もない。 そこでペイン分割・クローズのたびに自動で等分にリサイズするherdr-equalize-panesというpluginを作った。 github.com このpluginを入れると、分割やクローズのたびに自動で等分にリサイズされる。 インストールは以下のコマンド…

優秀なエンジニアが書くDesign Docは何が違うのか?

株式会社カミナシで VPoE を務めている pospome です。 (´・ω・`) 自分はここ数年いろんなエンジニアが書いたDesign Docをレビューする機会があるんですけど、その中で「優秀なエンジニアであれば、ここは押さえて欲しい」「ここでエンジニアとしてのスキルが分かる」というポイントがありまして、今回はそれを言語化してみようと思います(同じ話を社内でしたので、せっかくなら記事にしようかなと・・・)。 もちろん、Design Docだけでエンジニアの能力が決まるわけではありません。ただ、…

3命令のCPU処理で済む高速なうるう年判定アルゴリズム

要約 この短いコードで、西暦102499年までのうるう年を判定できます。このマジックナンバーはz3というSMTソルバーで見つけ出されました。 bool is_leap_year_fast(uint32_t y) { return ((y * 1073750999) & 3221352463) <= 126976; } はじめに GCC (libstdc++) のうるう年判定のアルゴリズムが、以下のように変更になりました (commit)。 constexpr bool is_leap() con…

推薦APIのモデル品質劣化を検知する監視システムの構築と運用

はじめに こんにちは、データシステム部MLOpsブロックの木村と、推薦研究ブロックの小倉です。 ZOZOTOWNでは、ユーザーが多様な商品の中から好みに合った商品と出会えるよう、さまざまな推薦機能を提供しています。その1つが商品詳細画面の「おすすめアイテム」であり、閲覧中の商品に関連する商品を推薦しています。以下に、ZOZOTOWNにおける商品詳細画面の「おすすめアイテム」のイメージを示します。 この「おすすめアイテム」は、おすすめ商品を返すAPI(以下、推薦API)が提供しています。推薦API…

会社員で「コミュニティの人」でもある場合の落とし穴

本記事はIT技術を専門とする会社員で、社外にある程度「あのコミュニティ(例えばプログラミング言語、フレームワーク)のあの人」として名が通っていて、業務の一環としてそのようなこと(以後「コミュニティ活動」と記載)をしている人が注意するとよさそうなことについて書きました。そのような人になりたい人も読むと役立つかもしれません。なお、本記事は特定個人の話ではなく、自分もそうなりかけた経験を含めた一般論です。 誰かが「あのコミュニティのあの人」であることは、それが当人とそのコミュニティにとって良いことであ…

CRE だけど「SREの知識地図」を読んだ

発売されて間もなくくらいに買うだけ買っておいて積ん読状態になっていた「SREの知識地図」を、今更ながらに読みました。 SREの知識地図——基礎知識から現場での実践まで作者:北野 勝久,近藤 健司,小林 良太郎,渡部 龍一,齊藤 拓朗,柘植 翔太,横山 達男技術評論社Amazon 僕は普段は CRE(SRE ではなく)をやっていて、自称 CRE オタクでもあるのですが、この本の第1章の途中まで読んだところで、めちゃくちゃ良い本であることがひしひしと伝わってきて、ウズウズして居ても立ってもいられなく…

人間に向けて文書を書こう

こんにちは。弁護士ドットコム クラウドサイン事業本部で SRE をしています、大内と申します。 いきなりですが、皆様は AI を使っていますか。 私はあまり AI を使いこなせておらず、設計の壁打ちや実装、セルフレビュー程度の利用にとどまっています。 それでも、AI を使う以前よりは開発速度が上がったと感じています。 これからは AI ネイティブなソフトウェアエンジニア(以降エンジニアと記載)がどんどん増えるでしょう。 新卒入社の方々も、今ではもうほとんどが AI ネイティブでしょう。 クラウド…

CI 23分 → 11分。8.6万行のテストコードを消すまでにやったこと

1. はじめに — 「テストは全部 結合テスト」だったプロジェクト 出前館で商品ドメインを扱うマイクロサービスの開発を担当している左官です。 今回は、そのマイクロサービスのチームで取り組んだ「結合テストに偏りきったテストコードを、単体テストへ移し替える」という改善についてお話しします。 CI は23分から11分になり、テストコードは8.6万行減りました。どう判断して消していったのか、その過程を書いていきます。 さて、私たちが扱っているのは、メニュー情報(メニューパターン・カテゴリ・商品・サイズ・…

CTO室を解散したい

おはこんばんちは!!尾藤 a.k.a. BTO です。私は今オープンロジで執行役員CTOをしています。 いきなり変なことを言うようですが、私は自分たちで作ったCTO室を、いつか解散したいと思っています。もちろんCTO室を解散したいのには理由がありますが、まずはこのチームがなぜ生まれて何をやっているのかを書いていきたいと思います。 溜まっていく技術的負債と落ちていく開発生産性 プロダクトを成長させていくうえでは、新しい価値を届ける機能開発が優先されるのは自然なことです。システムを長く開発・運用して…

リファクタリングの価値の考察シリーズ2 - 構造抽出性

前回「リファクタリングの価値の考察」という記事を書いたのは4年前だった。 nagise.hatenablog.jp 改めてリファクタリングの価値の考察をしたい。当時と大きく違うのはAIの存在だ。 リファクタリングに予算がつくかどうかはアレなんですが、リファクタリングというもの自体がなくなりそうな感じありませんか?読みにくくてもAIなら読んでくれるし、変更する場合は何かしら振る舞いも変わるし。 — すえなみ (@a_suenami) 2026年8月12日 新しい抽象を見出したから再設計するってこと…

「検算する」をやる

エンジニアの仕事として、ギャップを見つけて改善する、があると思う。そもそも改善案は AS IS と TO BE を捉えて、その差分をどうやったら改善可能かを考えるところから生まれる。 例えば「テックリードが忙しい」という状態があったとする。これを改善可能な状態と見なし、「重要な判断がテックリードに集まっている」が問題だと捉えて(いや、そもそも「重要な技術判断を誰もが担えるチームでありたい」という理想があるのかもしれない)、じゃあ「任せる」範囲を増やしていこうとか、レビューのやり方を変えようとか、…